相続の対象となる財産のこと。
原則として、相続開始時(被相続人の死亡時)に被相続人に属している一切の財産(権利義務)が相続財産となります。土地・建物・家財道具・自動車・宝石類・預貯金・株式・借地権・借家権・商標権・著作権…など、ありとあらゆるものが含まれます。
また、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続財産となります。つまり、被相続人の借金も相続の対象となるのです。よって、借金の額次第では、相続を放棄した方がいいということになります。相続を放棄すれば、プラスの財産を引き継げないかわりに、借金も引き継がなくてすむからです。
なお、例外として一身専属の権利義務は相続されません。
一身専属の権利義務というのは、被相続人のみに属するとされる権利義務のことです。たとえば、被相続人が誰かの身分保証人となっていた場合、その身分保証人たる地位は相続されません。身分保証はその個人の信頼に基礎を置く関係であって、一身専属性が強いとされるからです。
これに対し、通常の借金のための保証人たる地位(連帯保証も含む)は相続の対象になる点に注意。
また、仏壇やお墓も相続の対象とはなりません。これらは慣習によって祖先の祭祀を主宰すべき者に引き継がれます。かつての“家”制度の名残ともいえるでしょう。
参考条文 民法896条、897条