じゅうのblog

こちらでボチボチ更新していく予定です。

『黒い睡蓮』 ミシェル・ビュッシ

2023年08月29日 22時06分38秒 | ■読書
フランスの作家ミシェル・ビュッシの長篇ミステリ作品『黒い睡蓮(原題:Nympheas noirs)』を読みました。
『彼女のいない飛行機』に続き、ミシェル・ビュッシの作品です。

-----story-------------
『彼女のいない飛行機』で注目を集めた著者が贈る、叙述ミステリの傑作が登場! 
三人の女性が語る三つの殺人事件。
その真実とは? 
読者を謎の迷宮に誘う、仏ルブラン賞・フロベール賞受賞の話題作。
-----------------------

2011年(平成23年)に刊行された作品… 邦訳の順に読んだのですが、実際は本作品の方が『彼女のいない飛行機』よりも早く刊行されたようですね。

ある村に三人の女がいた… 一人目は意地悪で二人目は嘘つき、三人目はエゴイストだった。

モネの“睡蓮”で有名な村・ジヴェルニーで発生した奇妙な殺人事件… 殺された眼科医ジェローム・モルヴァルは女好きで、絵画のコレクターでもあった、、、

動機は愛憎絡み、あるいは絵画取引きに関する怨恨なのか… 事件を担当する警察署長のローランス・セレナックと部下のシルヴィオ・ベナヴィッドは、被害者が複数の女性と関係を持とうとしていたという証拠を得る。

ジェロームが言い寄っていた美貌の女教師ステファニー・デュパンに話を聞くうちに、ローランスは彼女に心惹かれていく… 一方、村では風変りな老女が徘徊し…… 『彼女のいない飛行機』で人気を博した著者の傑作ミステリ。

面白かったー 心地良く騙される展開… 好みのタイプの叙述トリックでしたね、、、

終盤の物語の様相が一変する瞬間… 大胆などんでん返しは、何とも言えない快感でしたね… 村人に愛されるシェパード犬のネプチューンの存在に、巧くミスリードさせられた感じかな。

それにしても、自分では守護天使になったつもりで、愛する人を束縛し続けた犯人に対しては嫌悪感しかなかったですね… ようやく解放され、残りの人生に希望が持てる再会が描かれた結末、ミステリがロマンスに変わる展開は良かったな、、、

作中でも紹介されていたレッド・ツェッペリンの"天国への階段"を頭の中で奏でながら、最後の数ページを読み終えました… 600ページ近いボリュームでしたが、満足の一冊でした。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『雲霧仁左衛門6(1)「雲霧、... | トップ | 『ブルックリンの少女』 ギヨ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読書」カテゴリの最新記事