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『ポー殺人事件』 ヨルゲン・ブレッケ(著),富永和子(翻訳)

2024年08月18日 19時57分18秒 | ■読書
ハーパーコリンズ・ジャパン
発売日 : 2021-08-17
ノルウェーの作家ヨルゲン・ブレッケの長篇ミステリ作品『ポー殺人事件(原題:Nadens Omkrets、英題:Period Of Grace)』を読みました。
ここのところ北欧ミステリが続いています。

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ノルウェーNo.1ベストセラー!

エドガー・アラン・ポーの像に磔にされた首なし死体――
事件の鍵は、1冊の“災いの書"。
マウリッツ・ハンセン新人賞受賞

エドガー・アラン・ポー・ミュージアムの館長が殺された――死体はポーの像に磔にされ、頭部はなく皮膚を剥がされた状態。
怪奇小説さながらのその惨劇は“ポー殺人事件"と世間で騒がれることに。
捜査に乗りだしたリッチモンド警察署刑事フェリシアは、殺される前に館長が分析に出していた書物が鍵ではないかと目をつける。
そんななか時同じくして、遠く離れたノルウェーの図書館でも同じ手口の惨殺死体が発見され……。
世界17ヶ国で刊行、ノルウェー国内ベストセラーリスト第1位獲得ミステリー。
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2011年(平成23年)に発表されたヨルゲン・ブレッケのデビュー作です。

時制と場所が異なる3つの叙述が並行する展開……まずは16世紀に旅をしているらしい修道士の視点、この修道士が何の目的で旅をしているのかはしばらくわからず、気になった状態のまま物語は現代の2つの場面へ、、、

ひとつはヴァージニア州リッチモンドで、ここにあるエドガー・アラン・ポー・ミュージアムで館長の死体が、ポー像に磔にされた状態で発見される……しかも頭部はなく、皮膚も剥がされているという無惨な姿で。

これと並行してノルウェー・トロンハイム……グンネルス図書館で警備主任として働くヨン・ヴァッテンは、研究職には就いていないのだが、ポーについて調べていて博士課程に在籍している、、、

そこでエドガー・アラン・ポー・ミュージアムと類似した惨殺死体が発見……アメリカとノルウェーで、それぞれ事件捜査が進行していくことに。

リッチモンドで捜査を進める刑事のフェリシア・ストーンは、高校時代にレイプ未遂を体験したことから薬物依存になり、その過去からまだ脱し切れていない……一方、トロンハイムの刑事オッド・シンセーカーは、脳腫瘍を克服して復帰したばかりで、病が自分の人生から奪い去ったものの大きさから立ち直れきれていない、、、

あることからフェリシアは、ノルウェーで類似の殺人事件が発生していることを知り、2つの事件は交わりを見せる……2つの事件は同一犯による連続殺人事件なのか? その目的は? 殺害方法が陰惨なには、ちょっと苦手でしたが、過去と現代、アメリカとノルウェー、それぞれの物語がひとつに収斂していく展開が愉しめましたね。

序盤のゆったりとした語り口から、中盤以降の疾走へのギア・チェンジも好みだし、人生の中で欠けたモノを持つフェリシアとオッドの2人の刑事の存在も物語に厚みを持たせていた印象です。

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