Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

医者というレール

2009-09-11 10:56:51 | その他
2000年あたりから、医学部の進学熱が高まっている。
プレジデントファミリーのような富裕層向け雑誌の進学特集でも、名門大ではなく
医学部特集の方がウケがいいという。
この記事では「東大蹴って私大の医学部に行く人がいる」点にフォーカスしているが、
かなり前から私立進学校では医学部シフトが起こっていた。
偏差値でいうと、東大の理2あたりは、とっくに地方国立大医学部より下である。
灘などは年度によっては、理系の4割が医学部進学という年もある。
(元々医者の倅が多い学校ではあるが)

これは恐らく、「一流大⇒大手企業」という昭和的価値観が既に崩壊している現実を、
少なくともそういった家庭の親世代が理解している結果だろう。
家計から見れば教育とは投資だから、大手の正社員というだけでは
もう投資先としては割に合わないというわけだ。

ひょっとすると、自分たち自身「投資に失敗した」と痛感している父兄もいるかもしれない。

ともあれ、この医学部シフトが脱昭和的価値観かどうかは議論があると思う。
個人的には、少なくとも平成的な価値観ではないなと考えている。
やはり、そこには主体が無いから。

そういえば昨年お会いした議員さんに、
「うちの秘書は城さんの後輩ですよ」と言われ、てっきり法か経だと思っていたら
医学部だと言われて驚いたことがある。
聞けば、彼の同期は1割くらい、金融やコンサルといった医者以外の進路に進んだ
そうだ。
はたから見れば国立大の医学部という文句のない身分ではあるが、先日も言ったように
それだけで“正解”となるほど、やはり人間は単純ではないらしい。

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34 コメント

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Unknown (epi)
2009-09-11 11:40:42
「手に職がつく」という点では医師の資格は最強ですが、昨今の医学部ブームは、現在医師不足が叫ばれている中においても、長期的に見ると将来的に医師の供給過剰にならないか、要らぬ心配をしてしまいます。
近年ワープア歯科医が急増しているのを見ると、自然とそういう連想をしたくなるわけで。

おそらく親御さんの「食いっぱぐれのない、近所や親戚にも引け目を感じない仕事を」思考の結果なのでしょうが・・・。受験する本人の意思は、別のところにあるケースも多いんでしょうね。

医学部卒で議員秘書さんになられた方の例のように、柔軟に自分の仕事を選べる世の中になるといいですね。
叔父 (kenji)
2009-09-11 11:41:43
40年以上前だが叔父がふらふらと来て、お前医学部を受けないかと進めにきた。そんな力はないと話した。その後七月にきて、同じことを言う。国立大学の一番偏差値の低い医学部へいけとのご託宣であった。私はそんな能力もないから、お茶にして終わった。叔父はこれから大学を出て意味があるのは医学部だけだと当時話した。
 その後20年たって、叔父が薦めたわけが分かったので、それを言うと、今頃遅い。
これからは大学を出ても意味がないと話した。叔父が予言した世界が来たわけだが、我国の学制は改革の必要がある。医学部を出て医者にならないとはお金の無駄である。医学部は各大学の予算の90パーセントくらい使うから、無駄が多すぎる。
 亜米利加と同じように医学部と法学部は一般大学を出てから入学するようにしてはいかがだろうか。

いずれにしても、我国の教育システムを変えることは我国復興の肝心要である。

 具体的には学制を大幅にかえ、小中学校を自由に設立できるようにして、大学入学においては年齢制限を無しにして、各大学が自由にできるようにして、さらに予科のような物を自由に作れるようにしてなおかつ肝心なことは入学を簡単にして、卒業を難しくすることである。
 入学して半年くらいでついていけるかどうかがすぐ分かるようなシステムを作ればいい。

しかし肝心なところは高校をどうするかだろう。これに自由度を与えることである。たとえば商業学校を出た生徒が、理系の大学が予科で積極的に募集するというような感覚も必要である。

しかしこれだけ教育で若い生徒や大人を食い物にしている世界はないのではないか。

教育は二つの要素が必要で一つは現代社会で生きていくための知識と技術を身に付ける。技術は大工なら大工の知識、知識なら。たとえば生活保護はどのようにして受けるか、救急車を呼ぶとどのようになるか、水道料金はどのようにして決められるか、年金保険はどのよう仕組みか。住所を移動したら、どのようなてつずきが必要かとか、警察はどのように対処するかと言ったことである。

 もう一つ重要なことはやはり、道徳、歴史、哲学、文学、美術、音楽、其の他
つまり現代では口幅たいが、教養を身に付け、賓のある人間に成長すると言うことか。

 自らにできないことを記しましたが、何気なく人と話すときは私は後者で判断している。
前者は金で買える領域が多いから、何とでもなるが、後者は相ではない。
この視点で今回の当選した議員を見ると、多分大体の判断ができる。
我が選挙区はそれなりの人で、一人は夫婦で楽器を協奏するそうである。
もう一人は、官僚からの転進で、これからの人である。
需要と供給 (あげ)
2009-09-11 12:35:06
今は、医者が少ないようなので、いいとは思いますが。

でも、歯医者みたいにコンビにより多くなると、これまた・・・

まぁ、自分の力で考え、食っていく力が大切ということで
Unknown (元SE)
2009-09-11 12:37:23
将来医療費の削減によって、医者も儲からない職業になります。親に言われて、医者になる子がかわいそうです。
元大手予備校関係者 (Iri)
2009-09-11 13:23:55
ぼくとしては、医学部シフトは昭和的価値観の延長線上にあると感じます。

ぼく、社会人なりたての2~3年前、大手予備校で理系浪人生を相手に進路指導してました。(すでに別業界へ転職済み)
その進路指導から得た限りでは、医学部を目指す生徒は多くの場合、自らの意思で医学部を目指すというよりも、家族と相談し、他の理系の進路と比較した結果医学部を目指す、という感じでした。
特に浪人生は1年の学習期間がありますから、難易度の高い医学部へのシフトは顕著でしたね。

医学部シフトは、「どうせ若いうちは下積みで苦労するばかりなんだから、サラリーマンで下積みするよりも、医者になるために研修生として下積みするほうがいっぱい学べるからマシだろう」という親の考えによるものが大きいでしょうね。
これって、「若いうちは泥のように働け」ってことで、昭和的価値観ですね。

そこには受験する本人の主体性は見当たりません。

主体が無いからという城さんの仰ることはそのとおりと思います。
日本もアメリカも (Willy)
2009-09-11 14:57:14
昔は一流大学を出ると「ほぼ全て」の人が良い待遇で生活できた。
今は一流大学を出ても、総合的な能力がないと
生き残れないようになってきましたね。

その点、医学部は国家試験さえ通ればある程度良い生活が保証される。
親としては、「とりあえず医学部に入れちゃえば後は安心」
なんじゃないかと思います。
子供を慶応幼稚舎に入れたがる親と似たようなもんでしょう。

アメリカの医学部は学部を卒業してから行くわけですが、
医学部志向の強さは日本より更に強い気がします。
いわば、旧帝の学生がこぞって
医学部を目指して受験勉強してるイメージでしょうか。

韓国も90年代末のIMF危機以降、
手に職をつけられる医学部の人気は急上昇したそうです。

自分の子供には、
考える力やコミュニケーション能力をしっかりつけさせて、
どんな分野に進んでもやっていけるように育てたいものです。
理想的な医学部の入試制度と医療について (patrasche)
2009-09-11 16:21:49
わたしが理想的だと思うのは、(1)すべての医師を公務員にする(2)すべての医師の年収を最高で500万円で頭打ちにする(3)医学部の学費を全額無償にする代わりに、勤務地・内容を選べないようにする(4)医学部入試はWAIS-R(知能検査)・論文評価だけ行い、「医学部=理系」という日本独自のバイアスを外す(5)芸大に医学部を創設して、精神科医は芸大で養成する(芸術的才能が見当たらない医学生を精神科医にさせるな)(6)公務員なので医師業は60歳で廃業してもらう(70歳すぎて現役なんてほとんど老害。「お医者様満足」を追求すれば「障害者迷惑」という結果になる)

エントリとコメントを読んで、普段にも増してうんざりした陰鬱な気持ちになりました・・みなさんのおっしゃっていることが大体正しいと思うからです。

>ともあれ、この医学部シフトが脱昭和的価値観かどうかは議論があると思う。個人的には、少なくとも平成的な価値観ではないなと考えている。やはり、そこには主体が無いから。

鋭いご指摘ですが、欠いているのは「主体」だけなのでしょうか?「医師」という職業を「その他の頭脳労働」と同様に考えるのは危険だと思います。医師はその地域の障害者(とその親)の一生をはっきり左右します。
二大既得権層。 (アンチツジモト)
2009-09-11 17:21:53
自分の経験及び親戚、友人などの人間関係において、どんなボケでも、おとなしくても、遊び人でも、どんな性格でも社会的立場、収入が約束されるのは、ここ数十年で限れば医者と民間テレビ局だけですね。テレビ局は能力関係なく、運とコネだけの時代が長かったので、努力したら入れるというものでもない。たかだか受験勉強の力だけで、ほぼ約束されてきたのは医学部だけ。他の世界行ったら落伍するようなタイプも多いですよ。あまり批判されませんし・・。ただ科が選べなくなったら、適性がなく困る人も出るでしょう。今は、自分で選べますからね。外科や救急と、皮膚科、老健では天と地ほどの仕事量の差があります。
ただ、時代が変わると親の意向で行ったのに、こんなはずじゃなかった、となるかも。官僚がまさに、そうでマスコミや世間にだまされて行って、大変な目に合っている善人が多いです。
言い忘れました。 (アンチツジモト)
2009-09-11 17:33:04
医学部を出て秘書をしてるのは、保健学科ではありませんか。保健学科は名ばかり医学部でなかなか進路は厳しいようです。そうでなければ、野次馬的に秘書みたいなものを経験して、免許があるから、途中で医者の中でも負担の少ない道へ、というあまり診てほしくないタイプの方では・・・。サンデージャポンというアホ番組に出てくる、吉田という人なんかはそうですよね。医学部は入るを広めて、卒業を厳しくすると医者の心のレベルは上がるでしょう。偏差値だけ高くて学生時代が楽な旧帝大より、入学後が厳しい私大のほうが医師としてのモラル、能力が高い場合があると思います。
医学部 (ぽょぽょ)
2009-09-11 17:37:31
大学入学時点で生涯年収の最低額がかなり高額で確定すると、みんなが思っているわけですね。
たしかに、医師免許さえとれば、あとは楽な診療科を選んで、できるだけ仕事をしないでおけば裕福かつ余裕のある暮らしができる。薬屋が持ってくるクスリの50個くらい言えるようになっておけばよいのです。
あとは良心や医師としての社会的責任を放棄しさえすればよいのですが、幸か不幸かそんなものある人は医学部では少数派なので、大丈夫。
あとはうっかり良心的であったりした若手や、医局のしがらみの中で生きる他なかったため、そこそこの診療技術を身につけちゃった医師がポロポロと第一線から抜け落ちていくばかりです。
医師が多くなりすぎれば、かつて医師数抑制政策を強力に推進したけど、いま起こっている医師不足は、全部政府が悪いといっている日本医師会が、医師過剰は政府が悪いといって、場合によっちゃ保険診療のストライキをかかげてでも、ごねまくって金を引き出すでしょう。歯科医師会とはわけがちがいます。