ニュース記事コピペ
性犯罪をした障害者 再犯防止を地域で担う 国がプログラム 長崎県でモデル事業
2017年5/29(月) 10:05配信
長崎新聞
国立精神・神経医療研究センター(東京)が、知的・精神障害があり、性犯罪を繰り返す人を対象にした地域での再犯防止プログラムのモデル事業を今月、本県で始めた。性犯罪をした障害者に対する更生支援の仕組みは国内では整っておらず、同センターは成果が得られれば全国に普及させたい考えだ。
性犯罪は一般的に再犯率が高いと指摘されており、厳罰化に向けた法改正も議論されている。2004年に奈良県で起きた女児殺害事件をきっかけに国は06年、刑務所と保護観察所で性犯罪者向けの再犯防止プログラムを導入。しかし、対象者が出所したり保護観察期間を終えたりした後、地域で継続的にフォローする仕組みはできていない。さらに加害者に障害がある場合、障害の特性に応じて更生を支援できる人材が少なく、再犯防止の有効な手だてがないのが現状だ。
モデル事業では、英国で作成された更生・治療モデル「SOTSEC-ID」を基に、日本風に、分かりやすくイラストなどで解説を加えたワークブックを開発。強制わいせつなど性犯罪をした10~30代の知的・精神障害者数人が県北地域の福祉施設に通い、「進行役」がワークブックに沿って解説したり受講者同士が議論したりしながら、性の知識や認知のゆがみ、被害者感情などを学んでいる。
同センターは昨年、本県で福祉施設の職員らを対象にした「進行役」の養成講座を実施。その参加者らが順番に進行役を務める。週1回2時間程度のプログラムを4カ月続け、効果を検証するという。
個別指導やグループワークを含めたプログラムを開発した聖マリアンナ医科大神経精神科教室の安藤久美子准教授は「性犯罪の加害者が刑務所を出て、社会に戻った時が再犯のリスクが高い。今後、プログラムを保健所や民間団体などに活用してもらうことで障害者の再犯防止につなげたい」。同センターの大塚俊弘上級専門職は「性犯罪の被害者を減らすためにも必要なプログラムだ」と話す。
15年版の犯罪白書によると、性犯罪のうち、10~14年に婦女暴行や強制わいせつで刑務所に入っていた受刑者計約3300人の約6・4%に知的・精神障害などがあった。
長崎新聞社