ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

上杉隆『記者クラブ崩壊』(小学館新書)を読んだ

2010-12-14 20:53:47 | ときのまにまに
もう1年以上前になるが、私はこのブログで「記者クラブは怖い(2009.5.19)」というコラムを書いた。その頃はまだ今ほど記者クラブが問題にされていなかった。宮崎県の東国原知事が就任早々に、「記者クラブという存在は、先進国では日本だけ」の特殊な形であり、そろそろ見なおしたらどうかと発言し、一躍全国民の前に「変な存在」として見えてきたくらいであった。(記者クラブが変なのか、東国原知事が変なのか?)
その直後、政権交代が起こり民主党が政権与党となり、閣僚が発表された。私はこのブログで「新政権のスタートダッシュ」(2009年9月18日)という文章を掲載し、次のようなことを書いている。

<新政権にとって問題は、対マスコミ戦略であろう。記者クラブという伝統的な悪弊がまだ温存されている。彼らはテレビや新聞等メジャーなメディアではほとんど流される筈がない情報が、最近ではインターネットを通じてどんどん流されている。その一つが記者クラブを廃止すると宣言した鳩山政権に対する恐喝まがいの圧力である。今のところ、政権側が一歩引いている感じがする。
16日の夕方に新内閣の発足に際しての記者会見が開かれたらしいが、これは本来すべてのメディアに解放されるはずであったが、その直前にドタキャンされ従来通りの官邸記者クラブである内閣記者会だけで行われたという。これは確認のしようないがかなり信頼できる筋からの情報である。今もまだマスコミでは「小沢たたき」「小沢警戒」が続いているが、実は記者会見をすべてのメディアに解放すると主張しているのが小沢さんである。本当かどうか分からないが、このマスメデイアの圧力を受けて、平野博文新官房長官が「『記者クラブ開放』は俺が潰す」、と息巻いていたとか。>

うかつにも、この時の平野博文官房長官の言葉を私は逆に理解していたらしい。私は当然のこととして「記者クラブを俺が潰す」と読んでしまったが、実はその逆であった。
遅ればせながら、今日、上杉隆氏の『記者クラブ崩壊』(小学館新書)を読んだ。そこに、平野前官房長官の裏切り行為が詳しく報告されている(153頁以下)。そこからが現在の民主党へのていたらくの始まりであった。すべてがあそこから狂ってしまった。
「たかが記者クラブ、されど記者クラブ」である。記者クラブは、上杉氏は「日本国民総洗脳化」という言葉をしばしば用いるが、まさに記者クラブという「ガラパゴス(日本でだけ通じる常識ならざる常識)」が日本人の正常な判断を狂わせている。1人でも多くの日本人に読んでもらいたい本である。ただ、残念ながらこの書は今年の4月の発行で、この半年の間にかなり状況は変化(悪化)してしまっており、その後のことをもっと知りたいと思うが、上杉氏が大手マスコミからほとんど完全に消されてしまっており、マイナーなルート(例えば、週刊誌とか、ラジオ等)からしか情報が得られない。
状況は日々刻々急激に変化している。上杉氏の最新(今日)の発言は「世界は半ば戦時体制。情報戦時体制。日本だけが違う」。情報戦争といっても一昔前の「スパイ合戦」ではない。情報の流し合いの戦争である。

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