ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

過去の記録

2008-02-15 16:04:26 | ときのまにまに
本日の読売新聞のコラム「編集手帳」にこんなことが書いてあった。市川崑監督の映画「東京オリンピック」は、クレーンにつり下げられた鉄球が古い建物を破壊する場面から始まる。この試写を見た五輪担当相、河野一郎氏は、「こんな記録映画があるか。撮り直せ」と罵倒したという。それを聞いた、市川監督は河野邸を訪ねて直談判した。その時の話題である。河野一郎大臣曰く。「マラソンのコースは平坦な道を選んだのに、君は坂道ばかり撮った」。それに対する市川監督の答えがふるっている。「カメラは正直です」。
一つの事件を記録する場合、その事件のどの部分を切り取り、どの部分を棄てるのか。切り取った諸部分をどのように構成して、その事件の真相を描くのか。これが問題である。切り取り方、構成の仕方によって、一つの事件はいろいろな真実を物語る。過去の記録には絶対はあり得ない。
いろいろなヤリトリの後、河野大臣は市川監督の言葉を言葉を諒とし、映画は封切られ、観客動員約1800万人という空前の大ヒット作となり、オマケにカンヌ国際映画祭の賞にも輝いた、という。これは間違いない過去の記録である。

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