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渡邊大門さん『 奪われた「三種の神器」―皇位継承の中世史』

2009-12-24 23:20:05 | 読書
本書は、中世史を専門とし

現在は大阪観光大学研究員である著者が

三種の神器について記した著作です。


皇位継承の象徴とされる「三種の神器」

著者は、古事記に記された伝承や律令制の下での位置づけ

そして、源平の争いの中での逸失とそれに対するの対応を紹介。

そのうえで、鎌倉後期から南北朝の分断~再統合の中で

三種の神器にどのような政治的意味が付与され

あるいは、意味が剥奪されたのかたのか。

そして、朝廷や幕府・諸大名など神器と深くかかわる人々が

どのような政治的駆け引きを繰り広げたのかを解説します。


神器無しで執り行われた後鳥羽の即位、

神器の帰還に熱狂に沸く人々と一条兼良の醒めた眼差しの対比―など、

いずれの記述も興味深いのですが

個人的に印象深かったのは

嘉吉の乱で断絶した赤松家の再興に、

南朝の末裔からの神器奪還が深くかかわっていたという記述です。

赤松家と神器という関係自体が初耳で、とても興味深いうえ

有力な旧臣の助力によって赤松家の再興が果たされた―という指摘は

後に赤松家の家中から浦上、宇喜多など

アクの強い人物が出てくることの遠因のようにもようにも思えました


政治的シンボルをめぐる政治ドラマを通じて

中世における国制や天皇と天皇家の姿を浮かび上がらせる本書


日本史や政治史に興味のある方に限らず

一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼 (渡邊大門)
2010-01-11 18:05:58
 はじめまして。著者の渡邊大門と申します。拙著にコメントをお寄せいただき、誠にありがとうございました。1月に別の新書を刊行し、また引き続き刊行の予定もありますので、よろしくお願い申しあげます。よろしければ、私のHPにもお立ち寄りください。
渡邊大門さんへ (juri+cari)
2010-01-13 15:58:26
コメントをいただきありがとうございます

先生の著作は以前に「東播守護代別所則治の権力形成過程について 」や「戦国初期の宇喜多氏について 」を読んでおりましたし

また、三種の神器や国制史は個人的にとても関心のある事項だったので、とても興味深く読ませていただきました。


今月発売になる新刊もぜひ拝読したいと思います。