notation

映画【パプリカ】

2007-07-16 03:44:27 | 映画
パプリカ
2006
今敏


「パーフェクト・ブルー」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」などの今敏監督の最新作。

テーマが夢ということで、舞台装置は実写じゃまず無理だろうというもの。アニメーションならではの暴力的なカット割りで見せてくれました。
雰囲気が「千年女優」と近いです。
アニメーションとはいえ、子供向けを端から考えていない内容。大人向けアニメーションならではの、めんどくさい台詞が目白押しです。
ちなみに、押井守監督の「イノセンス」は小難しい引用まみれでオリジナルの意味が無かった感じでしたが、サスガにそこまでではありません。

できれば、爽快感をもう少し出して欲しかった。
「夢にとりつかれた大人の夢の暴走」という内向的なストーリーの上に、画もちょっとグロイ。語り部がオッサンってのも。
話は面白いんですが、表現がこうじゃなかったらもっと面白かったと思うんですが。
皮肉にも、夢をリアルな方面に描いたら気持ち悪くなってしまった、という結果。
アニメーションでリアルを求めると変な方向に力が入ってしまって、だったらアニメーションでやる意味ないじゃん。手法としてもあんまり新しい場所へのトライアルも感じ無かったですし。
そういえば実写ではミシェル・ゴンドリー監督の「恋愛睡眠のすすめ」での夢の表現はとても上手く表現できていました。

終盤の木がウニョウニョ生えてきてパプリカ(女)を追うシーン、そして捕まっちゃうシーン。アレはイカン。その筋の同人誌みたいでした。気持ち悪い。

全体にユーモアの感覚がないというか、楽しませようと思っていないのか、間口がもの凄く狭い。
監督なのか、脚本なのか、個人の嗜好に凝り固まってる。外に向かって開いてない。これは「千年女優」でも少し感じましたが。
好きな方は好きなんでしょうが、劇場公開作品として本作はいかがなものかと思います。趣味が合わないってことなんですけど。
力作なのは間違いないです。
同じくマッドハウス制作の「時をかける少女」はとんでもない名作だっただけに、もったいない。


とはいうものの、見て損したとか思う作品ではないので、どうぞご鑑賞を。


最新の画像もっと見る