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映画【グエムル-漢江の怪物-】

2007-11-14 23:40:41 | 映画

グエムル-漢江の怪物-
2006
Bong Joon-ho 奉俊昊 (ポン・ジュノ)


これは面白い。

予定調和を完全に無視した作品です。
「ンな訳ねぇだろ!」というツッコミが全編に入りますが、それが気持ちいい。

本作は文学的な解釈をする方が多いですが、私は単純に「面白い映画」として十分イケルと思います。
人間のリアリティを追求すると殆どコメディとしか映らないというのはよくあることです。
それを本人目線でミニマムに描くとウディ・アレン監督作品になり、アクションというフィールドで描くと本作の様な表現になるのではないでしょうか。
これも新しい発見です。

意図しているのか分かりませんが、何故かいちいち笑いのツボに入る。
「意外と弱いターミネーター(グエムル)との戦い」みたいな感じですが、このグエムル(怪物)が浅い。コレもまた笑える。
デカイ魚じゃん。大きさも中途半端だし。
「ちょっと勝てそう」というあたりも上手い。
基本路線としてはお笑いなんですが、そうとだけも言い切れず。
不思議な映画です。


間違いなくアメリカには創れない映画です。
創れないことはないでしょうが、自国の誇る監督が世界に向けて創るということはマズ無いでしょう。
マイケル・ムーアとは違います。あの人はニッチを狙った目立ちたがりのデブだと思っています。センスの無さがキライ。ちっとも笑えない。
アレン監督にもこの方法はできないでしょう。
机上派インテリには思いつかない方法です。
鉛筆で考えたってこうはできない。
そもそも、理屈が無い。

敢えて言いますが、韓国国民のパブリックイメージである民度の低さを棚に上げず、まったく悪びれることなく表現に落とし込む。
セルフパロディとしているのでしょうか。
これは新しいです。

余談ですが、多分本ブログで最も引用率が高い「リンダリンダリンダ」に出演しているペ・ドゥナが出演しています。ドンクサイ芝居が絶品です。「リンダリンダリンダ」と同じ芝居ですが、好き。目が良い。

ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」でも感じた泥臭さというのは時代物故の地に根を張った泥臭さではなくて、単純な下品さ。
しかし、コレが不思議なモノで、ソレばかりを見せられてしまうと、下品なことになれてしまってその中にある人間の本性みたいなモノが浮かび上がります。
テクノロジーと本性が同居する国、韓国。
この描き方は面白い。


日本のお上品を気取ったクソ映画は見習うべきではないでしょうか。ソレ、オシャレじゃない。
この映画は相当オシャレです。