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映画【アンノウン】

2007-10-28 23:29:52 | 映画


unknown/アンノウン
2007
サイモン・ブランド


密室系サスペンス、バイオレンス風味の本作。
「ソウ」のテイストで、「CUBE」の設定を織り交ぜつつ、「レザボア・ドッグス」の舞台装置を借りて「ユージュアル・サスペクツ」の様なオチを狙った作品です。

こう書けばおわかりかと思いますが、狙いがブレすぎてて結局何がしたかったんだか分かりません。
イヤ、分かりすぎるほどに分かりすぎてしまい、コレは逆算で作った作品なんだなという思惑バレバレ。
「ラストまでに鑑賞者の思惑を3回ひっくり返す」ことだけを狙った作品です。
ナメんじゃねぇよ。

ひっくり返し方が卑怯。
この「卑怯」はB級映画に良くある理不尽ということではなく、ただの後出しジャンケンであって、興醒めしてしまう。
センスが感じられない。
良い悪いの前に、意志というセンスが感じられませんでした。

確かに裏切られますが、裏切られることを承知で鑑賞しているため、その瞬間の驚きがありません。
その安い脚本をごまかすためなのか、無駄なモーショングラフィックス的な映像処理が多い。余計。
映画はそういうもんじゃないだろう。


という思惑で観たモノの本当に予想通りの設計で、そのことに一番驚きました。

多分、監督は映画が撮りたかったんじゃなくて、視覚効果を狙ったんだと想います。



新作洋画ランキング1位に置くツタヤ渋谷店の悪意を感じた作品です。
ただの数字上の1位なんだと思いますから、やむを得無しか。
しかし、最近のリコメンド棚を観ると、どうもそれは違うんじゃないかと思うこと多々あり。
全部を見ている訳ではありませんが偉そうなこと言います。
ただのレンタル数からランキングを出すのであれば「店」なんていらないんですよ。
各人好きなものだけオンラインのディスカスなんかで借りれば良いんです。
でも、それはつまらないからお店に行くんです。何でもネットで借りられるし、買えるのにわざわざ電車に乗って、時間を使ってお店に行くんです。
その店の意志が感じられない、顔が見えない店は信用されない。で、離れられてしまう。

ツタヤ渋谷の場合はあまりの多様なターゲットに対して絞れないというのもあるかもしれませんが、少なくとも都内の映画好きはあそこに行けばアレはあるだろうという思惑で足を運び、ついでになんか面白いモノ無いかな、なんつってブラブラしているわけです。そこ、結構なロイヤルユーザーですよ。
私も学生時代に近所の小さなビデオ屋(裏ビデオ屋ではありません)でバイトしていたときに、魂を込めた手書きのPOP(商品の前に置く宣伝)を書いていたものの、ちゃんと署名すべきだったなぁと反省すべきです。
そのお店は私の陰謀でエリック・ロメール監督作品が全てそろっている無茶なお店でした。もちろんそのお店はもうありません。
新聞とか雑誌のコラムでイニシャルだけの署名で署名した気分になってるバカがいますが、それは無記名と同義。
実名伏せてブログやってる私も同罪なんですがね。

話も随分ズレましたし、このまま言を重ねると時代遅れなインターネット文化批判になってしまうのでこの辺で。
誰にとっても大切な2時間を消費させる映画の魅力は、関わる人間全てで作っていかなければいけないんだろうなぁ、と思った次第です。