折にふれて

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孤独の旅路   By空倶楽部

2018-11-09 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

 

その夕景を眺めながら、ふと、遠い昔に覚えた歌の一節を思い出していた。


Sony α99  F2.8G/70-200㎜ (f/5,1/320sec , ISO100) 

   I crossed the ocean for a heart of gold     

      金の心を探し求めて、海を渡ったこともある...

 

1960年代後半のアメリカ・ロックシーンに登場し、

ウェストコーストを拠点に活躍したシンガー・ソングライターのニール・ヤング。

独特の甘い声とは裏腹に、

政治や社会通念を痛烈に批判する彼の歌は、

当時の若者、それもアメリカだけではなく、

日本においても、根強い支持を受けたことをよく覚えている。

そのニールヤングの代表作「Heart of gold」を、

金色に輝く海を眺めながら思い出したのだった。

 

当時のアメリカは、それまでの豊かな成長に陰りが見え始め、

さらに追い打ちをかけるように、ベトナム戦争の泥沼化や過激な人種差別など、

内外に深刻な問題を抱えていた。

その世相は当時の文化、芸術といった分野にも影を落としていて、

そのひとつの現れがアメリカン・ニュー・シネマだったと思う。

「イージー・ライダー」や「ディア・ハンター、」そして「明日に向かって撃て」など、

絶望ともいえるエンディングは、当時のアメリカ社会の喪失感を代弁していたように感じたものだ。

そして、その傾向は、音楽の分野においても顕著で、

「Heart of gold」もそのひとつだった。

自身を「鉱夫」に例え、「金の心」を探す旅に出る・・・

そんな歌詞の背景として、ニール・ヤングが思い描いたのはゴールド・ラッシュだったに違いない。

19世紀にカリフォルニアで起こった金脈探し。

一攫千金を夢見てやって来た人で街は大いに栄えた。

しかし、その多くは、やがて夢破れ、結果として残されたのはゴーストタウンだったという話。

ニール・ヤングは当時の世相をゴールドラッシュの逸話に例えることで、

「金の心を探す旅など徒労でしかない」と風刺したのだろう。

また、「Heart of gold」には「孤独の旅路」という邦題がつけられている。

「金の心」とは徒労であり、また喪失感を暗示したもの。

すなわち、現実には存在しないものを探し求める空しさや寂しさを表わしていると理解するなら、

「孤独の旅路」という邦題は「言い得て妙」だと思えるのである。

 

さて、写真の光景に話を戻す。

「こんな色に染まるのか!」と感動するほど、この日の夕景は美しかった。

だが、それ以上に印象に残ったのが、渚に打ち捨てられた舟の存在感だった。

朽ちかけた舟ながら、夕映えに照らされた海に向かって、

今にも漕ぎ出すかのような生気を感じたのだ。

日没前の一瞬の、海に映る陽の輝きが、

まるで、舟の行く末を指し示したように見えたから、そう思ったのかもしれない。

しかし一方では、その光景が、ニール・ヤングが歌う、ありもしない「旅路」のようにも思えたのだ。

 


Neil Young - Heart Of Gold


「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

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