老人の戯言

老人の経験、知識、見識も現在に貢献するものが多いのではないか。

天の声

2006-12-11 19:44:36 | Weblog
 最近『天の声』が良く報道されているが皆様御存知でしょうか?
 元々は公共事業の施設を発注するときに、受注したい企業の幹部や営業の責任者が、その地元出身の代議士、県知事、市長等に意向をだしてもらい、これらの人が、自分の罪にならないように、何となく出納長、助役、建設部長などに独り言のように呟き、それが天の声となって受注業者に有利なように取り巻きが慮って然るべく予算や最低価格を漏らしたり、一方で業者間の談合で天の声がA社に出ているのでと一番札になるように5%程度の値差をつけて入札する習慣があった。
 一方で落札業者が偏らないように、或るルールで受注がある割合で行くように積算して調整するシステムが裏にあったのである。従い企業の方では、何とか天の声が自社にでるようにコネを探し、天の声を出してもらうのが通例であったのである。
 この結果年度予算の関係で年度末に売り上げが集中するので、期末集中型企業は
談合していると思ってよい。公共事業は談合成立の場合は利幅が大きいからである。
 戦後の幾人かの経団連会長を務めたような名経営者も談合の会長を務めていた。また火の粉が降りかからないように、先生方の秘書が企業の代理店と折衝して、類が及ばないように工夫されていたケースが多い。
 米国でもミシガン湖上のヨット談合は有名で、ある大手企業の副社長が刑務所に実刑で投獄された例がある。その後米国企業ではコンプライアンスプログラムで、
毎年法を犯してないか宣誓を主任が部下の担当者の,課長が主任のといった具合に
宣誓をとるので、万一談合が発生しても蜥蜴の尻尾きりで終り類が上層部に及ばないようになっているのである。
 欧州では受注を我慢させられた企業には受注者から寺銭が入るようなシステムの場もあったようだ。
 最近談合を回避するために指名企業制を止め、誰でも参加できる事で、この問題は解決された思っている自治体もあるが、能力不足の起業が受注したり、手抜きをされれば、後年不具合や事故が発生して、そのリカバーに余計に出費が嵩むことを憂えます。
 要は発注者が良く勉強して、適正価格を掴み、企業の能力を良くチェックする事が大切で、、それが出来なければ欧米の引き合い書のように分厚い性悪説的な引き合い書を出さねばならない。
 グローバル化した現在は無理であるが、敗戦後の急速な経済の回復には適性利潤をみとめた談合による利益の再投資が大きく貢献し、農耕民族の日本には適したもたれあいのシステムであった。juntaro