眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

お目覚めシュート

2021-06-19 10:39:00 | 短い話、短い歌
「あなた熱すぎて疎ましいの。私たちはクールな歌会だから」

 クラスタに属するのは得意じゃない。
 独りで落ち着いてコーヒーを飲もうじゃないか。
 誰にも邪魔されない時間。それこそが僕の望むもの。

「当店のどんなアイスティーも、お客様の熱を下げることができません。お引き取りを」

 そんな……。
 僕の望みは温かなコーヒーだった。
 まだ行くところはある。
 世界で一番心地よく迷子になれる素敵な場所が。

ピピッ! ピーーーーーーーーーーッ!

 店員が僕の額を光で撃ち抜いた。
「申し訳ございません。
 当書店のいかなるホラー小説をもってしても、
 お客様の熱をお下げできません。
 さようなら」

 すべての希望を失って街をさまよい歩いた。
 たどり着いた病院の先で、僕は倒れた。
 もう、これで終わりだ。
 目を閉じれば再びかえってくることはできないだろう。

 遠退いていく意識の向こうに、ホンダ・カーブの影を見た。
 どうして、ここにいるの?
 僕はスタジアムの袖に伏せながら、白熱の試合を眺めていた。
 ホンダ・カーブの強烈なシュート!
 目覚めた瞬間、背中に羽が生えている。
 僕、鳥に生まれ変わったんだ!


一閃のシュートに打たれ生まれ出た人生はゴールへ向いた旅


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