眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

新玉葱ボックス

2020-06-24 19:38:00 | マナティ
「どうでしたか」
「やっぱり難しかったよ」
「お疲れさまです」
「ああ。でもたまには自分で買い物もしないとな」
「そうですね」
「何でも運んでくれるのは便利だけど」

「便利すぎてお困りですか」
「困るばかりか怖くもある」
「それはどんな恐怖でしょうか」
「みんな忘れてしまいそうで」
「なるほど」
「手に取ってみると玉葱は重みがあったよ」

「どんな玉葱でしたか」
「とても新しい玉葱だ」
「新しい?」
「箱の中に新しい玉葱が詰まっていたよ」

「それはどのようでしたか」
「渡り鳥のようだったよ」
「それは大変でしたね」
「ああ。手にしても手につかない」
「逃げて行くのですか」
「自分で決めるというのが難しいんだな」
「はい」
「周りの人も迷っているようだった」

「大変な売場のようです」
「戸惑うばかりだよ」
「どれに決めましたか」
「これだというのに決めたよ」
「ベスト玉葱をみつけたのですね」
「そうでもないよ」
「そうですか」

「これだと言う時にはもう玉葱を見ていなかったからね」
「それ以前に見ていたのですね」
「決めたのではなくあきらめたのかもね」
「なるほど」

「だが、手にしたからには作らねば」
「はい。早速レシピを出しますね」
「ああ。明日でいいよ」
「寝かせますか?」
「そうした方がよさそうだ」
「では。そうします」
「ありがとう。マナティ」
「それでは。おやすみなさい」
「おやすみ。マナティ」


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