JUNSKY blog 2015

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ラテンアメリカの挑戦

2006-08-05 00:31:46 | 国際関係
NHK総合8月4日午後10時から 
「ラテンアメリカの挑戦」 第2回として、
今晩は、ブラジルとチリを中心に描いていた。

 ブラジルは、バイオ・エタノール生産で世界の最先端を行く。
バイオ・エタノールは化石燃料に変わる代替燃料として注目されているものであり、地球温暖化防止の切り札となる燃料である。
植物由来の燃料や搾りかすは、燃やしても、植物が短期間で二酸化炭素として取り込むことから、カーボン・ニュートラル(二酸化炭素を地球上に増やさない)な燃料とされ、地球温暖化防止に有効であり、また植物を植えることにより酸素の供給や、表土を守り、洪水調整にもなる効果もある。

 ブラジルの左翼ルラ政権は、これに注目し、これをサトウキビから作る。
日本では沖縄でテストプラントによる実験を続けているが、ブラジルではすでに、バイオ・エタノール商業化に成功しており、国内で多くの自動車を走らせているばかりではなく、中国・インドなど今後のエネルギー消費大国を相手に輸出を計画している。
 海底油田(石油)の開発なども進めているが、おおもとが石油に頼らない国づくりであり、これは今のところ石油の恩恵で民生に力を入れているベネズエラ(同特集第1回)とは、経済建設の方向が異なる。

 この番組をみて驚いたのは、ブラジルが発展途上農業国ではなく、サトウキビだけでも300種類以上の品種改良の実績を持ち、今では遺伝子組み換え農作物の研究でも先端を行っていること(遺伝子組み換えに私は反対であるが、それはともかく)、衛星写真を使った農地の土壌分析と、それにもっとも適した品種の選定など先端科学を駆使して農業の生産性を急速に上げている実績である。
ハイテク農業先進国ともいえるであろう。

 これを梃子に、ブラジルは近隣ラテンアメリカだけではなく、中国・インドなどの発展途上大国とも連携し、アメリカ主導の新自由主義実践の『自由貿易協定』に反対の立場を明確にしている。
番組では、バイオ・エタノールの生産ノウハウを独占するのではなく、その貴重なノウハウをインドや中国に積極的に提供する協定を結んでいる模様が映し出された。
そして、ブラジル一国では世界を相手にエネルギー戦略を打てないが、世界のあちこちに拠点を設けることによって、バイオ・エタノールが世界のエネルギー需要を変えてゆくという壮大なエネルギー戦略を語っていた。

 昨年、アルゼンチンで開かれた米州サミットで、ブッシュ米大統領が突然議題に上げようとしたFTAA(米州自由貿易協定)について、ブラジル代表ルラ大統領の覚めた態度での反対表明と、ベネズエラ代表チャベス大統領の熱血的な反対演説が映し出され、ブッシュの野望は失敗したことが明らかにされた。
そのブッシュの失敗演説は「進出してくる中国・インドに米州が一致して対抗しよう」という趣旨であるから、ラテンアメリカの動きと国際的交流を全く理解していないお粗末な演説というしかない。

 番組は続いて、チリの近況に迫る。(以下、別項に移します。)


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