太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

太陽光発電産業生き残りを賭けて

2016-02-01 10:03:47 | 仕事に関すること

FITの揺り戻しによる国内市場のシュリンク、加えて海外市場の停滞により各企業は先の見えない事業に悪戦苦闘している。事業の縮小や設備投資への危惧、場合によっては合併や買収による整理統合も検討されているという。産業政策としての位置付けが曖昧なまま、FIT制度の功罪のみを論うお偉い先生方、それに乗っかるマスコミと何一つ明るい見通しが出て来ない。原料シリコン不足時代、過剰なほどの設備投資をした中国が安い原料をベースにしたパネルでEU市場を席巻し、勢い余って日本にも上陸し、最後は巨大な国内市場に振り向けるという他の産業でもありそうな展開がなされている。

ただ、産業の状況だけを捉えて政策を打つのはそれこそ偏重というもの。国や地域によって普及すべき上位目標があるはず。日本では国際公約としての環境対策、国内的にはエネルギー安全保障である。かって住宅補助が復活したのは洞爺湖サミットにおける福田総理演説に表れた環境対策が大本にある。エネルギー安全保障では賛否はあるが2030年再エネ比率であろう。

問題はこれら上位目標が具体的施策としてどのような形で何時、具体化されるか全く見えないところである。このような期間が長ければ長いほど産業は衰退して行く。セキュリティと環境対策に太陽光発電が貢献することを否定する者は居ない。ならば早急に上位目標に至る道筋を明らかにする必要がある。それは時宜を得た施策であり、産業は生き残るための息継ぎをする努力である。当然産業ではコストダウンと用途開発がベースとなるが、マネジメントも重要である。

PV業界は過去40年、今と似たような状況、荒波に曝されてきた。都度、企業の整理統合や新興勢力が現れたがそれらの持続性には問題があった。整理統合では1+1で2以上、Win‐Winの関係を目指そうとするが、数多は1.2+0.3くらいで、場合によっては0.8+0.2くらいになってWin‐Winなどあり得なかったことは過去のメーカーを社名で追いかけてみれば明らかである。苦し紛れの整理統合が残すものはそこで働く人の不幸である。プライドを失い、ロイヤリティの行き場を無くし、優秀な人材、友達がさまよう姿を内外で多く見て来た。苦しい者同士が結婚して二人になって楽になることは結婚生活ではありうる事だが企業では相当難しい。お互いに相手に対し、幻想とも言える希望(良いとこどり)を抱くためどうしても期待外れとなる。

産業政策を打つならまず官製の仲人機関をつくることである。現在はメーカーの数が多すぎるように思う。各社が全く別の技術、別の市場で活躍しているなら別だが似たような会社(事業)は(現在の)市場規模に対して過多である。当たり前だが、仲人機関は強制力を持ってくっつけるのではなく、お見合いの場の提供であって判断は個社に委ねられる。車や家電と違ってPVが国のエネルギーや環境対策と直接関係しているから言えるのであって、決して民業への介入では無いと思う。

今、産業の声を代弁して事業の状況を正直に政府に伝える団体やカリスマは何処かに居るのだろうか?声が聞こえなければ国も手の打ちようがない。