ゆっくりかえろう

散歩と料理

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匂い3

2015-11-22 | フィクション

 今の部長がはらはらしている。

俺と常務はこんな風にしか話さない。

はたから見ていると まるで言うことを聞かない猟犬と それでも気長に付き合ってくれる猟師のようだ。

野良犬の俺に 唯一言葉が通じる相手なのだ。

常務直々の指令は 何年振りだろうか?

それだけ大きな仕事のようだ。

「先月の調査ねえ 本当は私の依頼なんですよ」

唐突に常務どのが話し出した。

 俺は何のことやら分からない。

どうやら普通の調査に紛れて ややこしい件も片付けたらしいのだが 部分部分のヘルプで しかも数日のことなので 俺のような末端のものには話が繋がらないのだ。

 ここがこの会社の怖い所で 知らない間に 人の恨みを買っていても 気がつかないのだ。

自己防衛は 慎重にやらなければならない。

「そこでだ 華岡君…」

おっと 名前で呼ばれた時は かなり難しい話だ。

俺は緊張して 唾を飲み込んだ。

 



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