俺たちは小松の運転で 千葉の木更津まで高速道路で移動した。
浦安辺りから身体が重くなった。
こっちに来るのを 身体が嫌がっている。
内陸へ少し入った社長宅は 二階の居宅に比べ ガレージが異常に広かった。
俺たちは 社用なのでお宅には上がらず 直接ガレージに案内された。
薄暗い だだっ広いガレージは 薄気味悪い空気が何故か感じられる。
奥へすすむと 派手なパリッ ピキィーン と喧しい。
「華岡さん、アレは何の音?」
「なんか居るなぁ あれはラップ音さ」
「えっ ラップって?」
説明している間がおしい 俺は返事をせず先を急いだ。
*ラップは霊気や妖気の気配音です
薄暗いガレージの中は 端に停めてあるクルマの周りだけ ぼうっと薄明るかった。
瞬間 ガレージ内に眩い照明が灯った。
怪しい光は消え去ったのに まだ微かに気配は消えない。
見渡せば やはり広い車庫で満車なら 三十台は入るだろうか。
そこに十台ばかり大型車中心に ゆったりと並んでいる。
名の知らぬ黒塗りのリムジン スポーツセダン 流線型のスポーツカー クラシックカー等々 高そうなクルマばかり どれも新車のように磨き上げられている。
車のマニアが見たら さぞかし喜ぶだろうが 生憎私にはその価値が解らない。