ゆっくりかえろう

散歩と料理

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味噌カツ定食

2011-04-06 | ランチ

 岐阜というところは 名古屋以上に名古屋的な部分があります
 名古屋信者がいっぱいいるのかもしれません

 ランチ時を逸して 遅くに入った店は 自動ドアを開けてしまったとたん
 失敗に気がつきました 閑散とした食堂は 一人もお客さんの姿がなく
 暇そうなおばあさんが 客の座る椅子に座って 岐阜新聞を広げていました

 「いらしゃい」
 黒ずんだフローリングの床 どこか酸っぱいすえた匂いのするフロア

 思わず後ずさりしながらも 腰の曲がったおばあさんが
 上目使いにこちらを にらみつけ(たようにみえました)ので
 蛇ににらまれたカエルになったみたいに動けなくなって
 入り口の椅子にへたりこんでしまいました

 「なんにします?」

 壁一杯に貼り付けられた品書きを横目にして これしか頼めなさそうだったので

 「味噌カツ定食ください」

 と答えたら(まるで尋問みたいだわ)
 老婆は「?あぁ」としか返事しません

 ようやく耳が遠いのがわかり 老婆のそばまで近寄り
 「み・そ・か・つ・て・い・しょ・く」と繰り返すと

 「ああ きこえとる」といなされた
 何をやってるんだか

 カツの出来るまで 岐阜新聞(ここ大事です)を読みながら
 料理の進捗状況を 耳で探りながら 目は新聞の紙面を追います

 やがてキャベツの刻む音がして (なかなかリズミカルないい音がするなぁ)
 しかしいっこうにカツを揚げる油の音がしない

 やがて5分もすると揚げ物のじゅうじゅうする音がし 香ばしい匂いもして
 空腹もクライマックスに達したところで

 「おまちどうさま」
 顔を上げると40がらみの女性が 味噌カツ定食を運んできてくれた
 奥に入っていた老婆は にかっと笑顔をみせた(ような気が)

 料理を作っていたのは この女性で
 ばあちゃんは新聞を(やっぱり岐阜新聞)読んで寛いでいただけだったようです
 しっかりからっと揚がったカツ 甘めの味噌カツソース 赤だしの味噌汁
 真っ白なご飯に香の物
 
 あれ? 美味しいじゃないの
 空腹を差し引いても 点が高いランチでした

 あーあ  最初から期待していたら もっと楽しかったのに

 食後 ごちそうさまをして お金を払いに歩いていったら
 直前まで居眠りをしていたばあちゃんが起きだして

 「ありがとうございました」といって入れ歯の歯茎をみせてにかっと笑った

 今度来るときは 違う店にするぞと誓う

      おいしかったけど


 かえり岐阜新聞の夕刊を買ってかえったのは いうまでもない