Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(229)

2018-10-18 10:23:52 | 日記

 まま事なら、そうね、今茜さんと遊んでも良いなと笑顔を浮かべご機嫌になる蛍さんでした。先ほどまでの機嫌の悪さは何処へやらという状態になると、嬉しそうに茜さんと架空の物、スルメのやり取りでまま事を始めたつもりの蛍さんです。そして…。

 わぁーんと、「ホーちゃんの意地悪!」と言う声と、バタバタと茜さんが目の前から走り去っていく足音。茜さんが泣いて帰ってしまうまでそう時間はかからなかったのでした。まま事遊びの最中で、遊びを楽しむ笑顔そのまま、訳の分からない蛍さんはきょとんとしました。彼女はまた家に取り残されて1人きりになってしまったのです。

 が、茜さんが泣きながら玄関を飛び出して行くと同時に、入れ違いで隣の伯母さんが玄関口に現れました。彼女は自分の娘の取乱した様子に、後方からくる義弟夫婦を見やり二言三言声をかけると、娘の茜さんの後を追いかけて隣の自宅へと消えました。その後はすぐに玄関口に蛍さんの父、母と姿を現し、彼等は家にバタバタと入って来たのでした。

 「何だっていうんだか。」

父はご機嫌斜めらしく苛立った声を上げました。ふんという感じで畳にふんぞり返ると、後から続く母にお茶でもくれと云いつけました。母は触らぬ神に祟りなし、という風情です。にこやかな笑顔で何も言わず台所へと消えて行きました。彼女は部屋を横切る時にちらっと娘の蛍さんの顔を見やって行きましたが、彼女のその顔も父に負けず劣らず不機嫌そうでした。

『こんな子供のせいで叱られるなんて。』

二人の胸中にはむかむかと湧き上がって来る感情が有るのでした。二人は兄嫁から、子供をほっぽって遊んでいるなんて、2人共如何いう親なのかと意見されたばかりなのでした。しかも、あなた達の子供まで家で面倒を見ている、家の子が世話しているのだと文句まで言われて来たのでした。そして…、この後からも兄弟両家の間では一悶着起こる気配は濃厚でした。

 後日、蛍さんは、「美味しい物は独り占めしないで、ちゃんと人にも分けてあげるように。」と思ってもみなかった事を父から注意されるのでした。美味しい物って?と問い掛ける蛍さんに父は「例えばスルメとか。」と答えるのでした。「お前茜に分けてやらなかったんだろう、可哀そうに、大泣きしていたそうだ。」と、父は目を怒らせて蛍さんを諭すのでした。全く身に覚えのない蛍さんが、その後茜さん同様大泣きしたのは言うまでも無い事でした。

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