魚住 「え・・・?俺がサイドバック??」
親善試合に召集された俺を待っていたのは、突然のポジション変更だった。
代表監督 「そうだ。現在の代表にはCBはもう必要ない。
今求められているのは、サイドバック、それも走れるサイドバックのみだ。
それが気に入らないなら、、、帰ってもらって結構。」
・・・たしかに俺は、これまで何度かサイドバックを経験してきた。
しかし・・・バレンシアでも今は不動のCBを張っている俺がサイドバックか・・・。
代表監督 「・・・どうした?やるのか?それとも、帰るのか??」
魚住 「。。。やります。サイドバックでやらせてください!!」
代表監督 「うむ。」
面談前にヴィンセントに言われていた。
代表監督は信頼度を重視するタイプであるということ。
そして選手の能力を分析する力に長けているということ。
おそらく、彼は見抜いていたのだろう。。。
2mを超える身長がありながら、、ヘディングがそれほど強くない俺の能力に。。。
・・・・そう、俺には・・・・・ヘディングの才能はなかったんだ。。。
現在の俺の能力は、走力だけが突出していた。
あれほど嫌いだった、そして苦手だった基礎練習。
その苦手を克服するために繰り返した、そう、
高校の時から繰り返し続けた反復練習によって培われた走力。
皮肉にも、それが今の俺を支える生命線。。。
これも、、、田岡監督のおかげか。。。。
遠い記憶。
しかし、俺の中にはっきりと残る言葉。
~でかいだけ?結構じゃないか!俺はお前に体力や技術をつけさせることは出来る
しかし、お前をでかくしてやることは出来ない。~
監督・・・・俺は・・・俺は・・・こんなものだったんですか?。。。。
試合が始まる。
俺は・・・ベンチスタートだ。
後半、途中出場。
俺のモチベーションとは裏腹にザ・ワールドが発動する・・・。
結果、1対1の引き分け。俺は6.5の評価点を手にする。
そして、バレンシアに戻るべく飛行機に乗り込む。
ヴィン 「ジュン、どうしたんだい?初めての代表で、しかも得点もしたのに
そんなに浮かない顔して?」
魚住 「いや・・・ちょっとな。」
ヴィン 「・・・そういえば、代表監督が言ってたよ。
『良いゴールだった。次も期待してる』だってさ。」
魚住 「あぁ、、、そうか。」
西に向かう飛行機は、積乱雲に飛び込む。
しかし、いずれは抜け出すだろう。
抜けない雲はない。
やまない雨もない。
でも、、、、俺に、、、人間に、限界は。。。。。。