産業カウンセラー日誌

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働き方改革関連法案とは わかりやすく

2018-08-08 17:19:54 | 働き方改革
働き方改革関連法案は2018年6月29日に可決・成立して7月6日に公布されましたが、国会審議では高度プロフェッショナル制度ばかりが話題となり、働き方改革関連法案の高度プロ以外の重要な内容はほとんど報道されていません。

そこで、働き方改革関連法案のポイントを極力わかりやすく説明したいと思いますが、働き方改革関連法案は大きく分けるなら「長時間勤務の是正を目指す労働時間に関する制度の見直し」と「正社員とパートなど待遇差解消をめざす同一労働同一賃金」という大きなテーマになります。

ここでは、大変長文になってしまいますので、労働時間に関する制度の見直しとなる労働基準法の改正(働き方改革関連法案では新労働基準法と呼ばれています。)を中心としたいと思います。

改正労働基準法案の簡単な年表(?)
2015年(平成27年)
4月3日、労働基準法等の一部を改正する法案が国会に上程。その後、継続審議。
2018年(平成30年)
4月6日、労働基準法等の改正法案の内容を一部修正して包摂する働き方改革関連法案が国会に上程。
6月29日、働き方改革関連法案可決・成立。
7月6日、働き方改革関連法公布。改正雇用対策法施行(雇用対策法改称)。
7月18日、労働政策審議会・労働条件分科会は働き方改革関連法の省令等を議題にして時間外労働の上限規制等にかかる省令案の審議、原則の限度時間を超えて就業した労働者に対して実施する健康確保措置は指針で例示された内容をもとに36協定で定めることなど確認。
8月9日、労働政策審議会・労働条件分科会開催予定。

改正労働基準法などの施行(実施)日
労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正の施行日は2019年4月1日ですが、中小企業における残業時間の上限規制の適用は2020年4月1日になります。また、中小企業における月60時間超の残業の、割増賃金率引上げの適用は2023年4月1日になります。

労働時間に関する制度の見直しの目的
労働時間法制の見直しについての目的について厚生労働省は次のように説明しています。

「働き過ぎ」を防ぎながら、「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」を実現します。

労働時間の上限規制
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。 また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。ただし、上限規制には適用を猶予・除外する事業・業務があります。

*適用を猶予・除外する事業・業務
・自動車運転の業務
改正法(新労働基準法)施行5年後に上限規制が適用されます。ただし、適用後の上限時間は、年960時間とし、将来的な一般則の適用については引き続き検討されることになります。

・建設事業
改正法(新労働基準法)施行5年後に上限規制を適用されます。ただし、災害時における復旧・復興の事業については、複数月平均80時間以内・1か月100時間未満の要件は適用しません。この点についても、将来的な一般則の適用について引き続き検討されることになります。)

・医師
改正法(新労働基準法)施行5年後に上限規制が適用されます。ただし、具体的な上限時間等については、医療界の参加による検討の場において、規制の具体的あり方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得ることとしています。

・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
改正法(新労働基準法)施行5年後に上限規制が適用されます。

・新技術・新商品等 の研究開発業務
医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、時間外労働の上限規制は適用されません。

*時間外労働が一定時間を超える場合には、事業者は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととされます。

勤務間インターバル制度の導入促進
勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組みです。この仕組みを企業の努力義務とすることで、働く人の十分な生活時間や睡眠時間を確保します。

年5日間の年次有給休暇の取得(企業に義務づけ)
現在は働く人が自ら申し出なければ、年休を取得できませんでしたが、改正後は使用者が働く人の希望を聴き、希望を踏まえて時季を指定し、年5日は有給休暇を取得。

月60時間超の残業の割増賃金率引上げ
現在は月60時間超の残業割増賃金率は大企業が50%、中小企業が25%ですが、改正後は中小企業の割増賃金率が引上げられ、月60時間超の残業割増賃金率を大企業、中小企業ともに50%とされます。

労働時間の客観的な把握(企業に義務づけ)
現在は、割増賃金を適正に支払うため、労働時間を客観的に把握することを通達で規定し、裁量労働制が適用される人などは、この通達の対象外。

*裁量労働制の適用者は、みなし時間に基づき割増賃金の算定をするため、通達の対象としない。また管理監督者は、時間外・休日労働の割増賃金の支払義務がかからないため、通達の対象としない。

改正後は、健康管理の観点から、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況を客観的な方法その他適切な方法で把握するよう法律で義務づけられます。

労働時間の状況を客観的に把握することで、長時間働いた労働者に対する、医師による面接指導を確実に実施されることになります。

*面接指導とは「労働安全衛生法」に基づいて、残業が一定時間を超えた労働者から申出があった場合、使用者は医師による面接指導を実施する義務があります。

フレックスタイム制の拡充
現在は労働時間の清算期間最長1か月ですが、改正後は労働時間の清算期間最長3か月とし、子育てや介護といった生活上のニーズに合わせて労働時間が決められ、より柔軟な働き方が可能になります。

高度プロフェッショナル制度の創設
高度プロフェッショナル制度新設の目的は、厚生労働省によると「自律的で創造的な働き方を希望する方々が、 高い収入を確保しながら、メリハリのある働き方をできるよう、 本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意」するためとされています。

1 健康の確保
厚生労働省の説明では「制度の創設に当たっては、長時間労働を強いられないよう、以下のような手厚い仕組みを徹底します」とのことです。

(1)制度導入の際の企業内手続
事業場の労使同数の委員会(労使委員会)で、対象業務、対象労働者、健康確保措置などを5分の4以上の多数で決議することが必要とされています。また、書面による本人の同意を得る(同意の撤回も可)ことも必要とされています。

(2)現行の労働時間規制から新たな規制の枠組みへ
現在の労働時間規制とは、36協定(時間外・休日労働の規制)と時間外・休日及び深夜の割増賃金になりますが、新たな規制とは「高い交渉力を有する高度専門職」については、その働き方にあった健康確保のための新たな規制の枠組みが設けられます。

2 健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置
(1)必須の措置
年間104日以上、かつ4週4日以上の休日確保を義務付け

(2)選択の措置
必須の措置に加えて、以下のいずれかの措置を義務付け(どの措置を講じるかは労使委員会の5分の4の多数で決議)
・インターバル規制(終業・始業時刻の間に一定時間を確保)+ 深夜業の回数を制限(1か月当たり)
・健康管理時間の上限の設定(1か月または3か月当たり)
・1年につき、2週間連続の休暇取得(働く人が希望する場合には1週間連続×2回)
・臨時の健康診断の実施(健康管理時間が一定時間を超えた場合または本人の申出があった場合など一定要件に該当する場合)

(3)その他の健康・福祉確保措置
必須の措置、選択の措置に加え、健康・福祉確保措置(健康・福祉確保措置は有給休暇の付与、健康診断の実施など労基則で規定される中から選択)

2 対象者の限定
(1)対象は高度専門職
高度の専門的知識等を必要とし、従事した時間と成果との関連が高くない業務

(2)対象は希望者
職務を明確に定める「職務記述書」等により同意している人

(3)対象は高所得者
年収が「労働者の平均給与額の3倍」を「相当程度上回る水準」以上の人

産業医・産業保健機能の強化
(1)産業医の活動環境の整備
現在、産業医は労働者の健康を確保するために必要があると認めるとき、事業者に対して勧告することができます。

改正後は、事業者から産業医への情報提供を充実・強化され、事業者は長時間労働者の状況や労働者の業務の状況など、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないことになります

また現在、事業者は産業医から勧告を受けた場合は、その勧告を尊重する義務がありますが、改正後は産業医の活動と衛生委員会との関係を強化され、事業者は産業医から受けた勧告の内容を事業場の労使や産業医で構成する衛生委員会に報告することとしなければならないこととされます。

(2)労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取扱いルールの推進
現在、事業者は、労働者の健康相談等を継続的かつ 計画的に行う必要があります(努力義務)。

改正後は、産業医等による労働者の健康相談が強化され、事業者は産業医等が労働者からの健康相談に応じるための体制整備に努めなければならないこととされます。

また、事業者による労働者の健康情報の適正な取扱いが推進され、事業者による労働者の健康情報の収集、保管、使用及び適正な管理について指針が定められ、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受けられるようにされます。

*「働き方改革関連法案とは わかりやすく」は、厚生労働省が作成した働き改革関連法案を説明する文章を参考にしています。なお、働き方改革関連法の省令や指針は労働政策審議会・労働条件分科会等で審議されていますので、この「働き方改革関連法案とは わかりやすく」の説明と施行時点では違いが出てくる可能性もありますのでご了承ください。

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