じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「蜜蜂と遠雷」

2020-09-20 20:51:06 | Weblog
★ 4日連続の中間テスト対策。無事に半分が過ぎたので、自分へのご褒美として映画「蜜蜂と遠雷」(2019年)を観た。

★ 恩田陸さんの原作は積読になっているので、まずは映画から。国際ピアノコンクールに挑む人々。第1次予選、第2次予選を経て、いよいよ本選へ。それぞれに技巧はすごい。コンクールである以上、順位が着く。技巧を超えたもの、聴衆をひきつける何かを発揮した人が栄冠を得る。

★ 天賦の才に恵まれ、文字通り血の滲む努力を惜しまない人々にも悩みは尽きないようだ。いや、秀逸であるからこそ、その悩みも深そうだ。高みに登れば登るほどに、究めれば究めるほどに、道を究めることの難しさを実感するのであろう。これはピアニストに限ったことではない。どの世界でも、道を究めようとする者につきまとう試練かも知れない。

★ 人の評価はさておき、自らの満足が得られるか。ゴールのない道を歩むからこそ尊いのであろう。そんなことを感じた。

★ 文字で音楽を感じさせることができるのか。原作も読んでみたい。
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阿川弘之「鮨」

2020-09-20 14:14:46 | Weblog
★ デジタル時代に押され気味の新聞。ニュースの速さ、リアリティはテレビやインターネットに席を譲った感がある。新聞の生き残り策があるとすれば、それはコラムの面白さだろう。政治関連の裏話になると、大新聞の記者の筆が冴える気がする。

★ 今朝の新聞で面白かったのは、朝日新聞の「日曜に想う」。曽我豪編集委員の「『月』の首相 本領を発揮するには」というコラム。菅新首相は政治家の中で一番電話が短いという。菅氏が師匠の梶山静六氏から受けた教えとは。平時ではありえない「月」の首相の誕生。その手法に注文をつけつつも、愛情を感じさせる原稿だった。

★ 「天声人語」は「早い、安い、うまい、そして大盛」のなじみの料理店が閉店になってしまったという話。かつての「ぎょうさの王将」のキャッチフレーズのようだと思った。

★ 京都新聞は物理学者、佐藤文隆さんの「天眼」のコラムが面白かった。「地界も天界も異変」と題された記事。ベテルギウスの減光から、天文学に対する東西の捉え方の違いを指摘されていた。古代中国では「天のお告げを感知するため」に天体観測が行われたと言い、それに対して、西洋の天文学は神の摂理を確認するためのものであったという。なるほどなぁ。

★ さて、今日は阿川弘之さんの「鮨 そのほか」(新潮文庫)から「鮨」を読んだ。短い作品だったが、面白かった。討論会の帰りにもらった鮨。主人公は東京で飲食会が予定されてたので、その扱いに困った。包みを開けるとその海苔の香りに誘惑され、一つつまんでしまった。不味からず、旨からず。残りをこのまま捨ててしまおうかとも思ったが、それには心がとがめた。あれこれ思い巡らせた結果、上野で浮浪者にもらってもらうという結論に達した。しかし、食べかけの鮨。見知らぬ人は果たしてそれをどう受け止めるやら。

★ まずは筆者の想像たくましい様子が面白かった。その中で「樽の中のディオゲネス」や大山祇(おおやまづみ)神社の「一人相撲」などのうんちくを学んだ。そして遂に、主人公は浮浪者に折り詰めを渡すのだが、その浮浪者の姿に感動した。帰宅した後の家人との会話もユーモアにあふれて面白かった。




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阿刀田高「消えた男」

2020-09-20 01:17:27 | Weblog
★ 近隣の中学校は24日(木)、25日(金)が中間テスト。従来は10月中旬ごろだったが、昨年からなぜか(たぶん行事の関係)、この時期になった。

★ 今年は4連休後という事で、塾では連日、テスト対策。朝10時から夜10時まで。塾泣かせの日程だ。

★ 授業の合間を利用して、短い作品を一つ。阿刀田高さんの「消えた男」(角川文庫)から表題作を読んだ。

★ 病院で知り合った変わった男。画家だと自称するが、どうもあやしい。うさん臭くはあったが、学生の主人公は別段失うものもないので親しくなった。

★ 男と付き合ううちに、この男の「本業」が女ったらし(つまり女性に寄生し、その財力に頼る)であることを知る。

★ そして、その男が消えた。男はどこへ行ったのか。


★ この文章を書きながら睡魔が襲ってきた。
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ドラマ「相棒」新世界より

2020-09-16 05:41:04 | Weblog
★ ドラマ「ST」では、とてもセクシーな役を演じた芦名星さんの訃報。「相棒」では、ジャーナリストを演じられていた。

★ 「相棒」シーズン17最終回「新世界から」(2019年)を観た。学者の好奇心から遺伝子操作で開発された新型ウイルス。その情報を盗もうとする某国の陰謀。未来から来たという兄妹は新型ウイルスにより人類が危機に瀕したとして、開発に携わった研究者を襲う。杉下右京、冠城亘はバイオテロを防ぐことができるのか、といった内容だった。

★ 新型ウイルスという発想は、まるで1年後の世界を予見したようだ。未来からの使者が歴史を変えようとするというのは「ターミネーター」や「ねらわれた学園」のようだ。

★ 「未来」という異郷は、アーミッシュか原始共産制を志向するカルト集団のようだ。そのファッションは「勇者ヨシヒコ」か。

★ とにかく、盛りだくさんな内容だった。某国(作品中では「唐国」と言っていたかな)の陰謀はもっと掘り下げれば「24」のようになるなぁ。知性派の杉下右京にマッチョ系のジャック・バウアーは期待できないから、別の企画でということか。
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映画「渇き。」

2020-09-15 01:50:45 | Weblog
★ 深町秋生さんの「果てしない渇き」(宝島社)を読みながら、先に映画「渇き。」(2013年)を観た。

★ 高校生の娘が失踪した。母親は娘の持ち物からドラッグを見つけ、離婚した夫に連絡した。夫は元刑事。妻の不倫相手を暴行し、警察を辞めていた。夫は必死で娘を探す。そこで見えてきたのは、娘の裏の顔であった。

★ 親は娘のことを何も知らない。母親は家庭を顧みない夫に愛想が尽きたのか愛欲に溺れ、夫は妻と娘から疎まれ、ますます家庭から遠ざかっていった。もとはと言えば、この夫、かなりエキセントリックだ。暴力的だ。

★ 異常な家庭環境が娘を悪魔に変えたのか。いじめ、警察の腐敗をからめながら、すべての秩序が狂いだす。善悪の境界さえもわからなくなる。

★ 父親を演じる役所広司さんが印象的。最後まで救いのないドラマだった。
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ドラマ「アクロイド殺人事件」

2020-09-13 19:42:02 | Weblog
★ 昨日の朝日新聞「天声人語」でアガサ・クリスティーの代表作の一つ「アクロイド殺し」が紹介されていたので、ドラマ「名探偵ポアロ」で「アクロイド殺人事件」を観た。

★ 探偵業を引退して、田舎で畑仕事をするポアロ。しかし、ポアロの行くところに殺人事件あり。村で一番の実業家アクロイド氏が殺された。数々の伏線。アナログ時代の時差トリック。

★ ドラマ化にあたって、犯人をどう描くか難しかったことだろう。

★ オープニングとエンディングも印象的だ。
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よしもとばなな「デッドエンドの思い出」

2020-09-13 16:38:17 | Weblog
★ 少し時間ができたので、映画でも観ようとhuluやnetflixやamazonプライムを検索。

★ 「草原の椅子」(宮本輝)、「蜜蜂と遠雷」(恩田陸)、「マチネの終わりに」(平野啓一郎)、「アイネクライネナハトムジーク」(伊坂幸太郎)、「デッドエンドの思い出」(よしもとばなな)など文芸作品が映画化されていた。

★ 予告編を観て、どれも面白そうだった。書庫に、よしもとばななさんの「デッドエンドの思い出」(文春文庫)があったので、表題作を読んだ。映画とは設定が変わっていたが、切ない物語だった。

★ 主人公の女性には婚約中の彼がいる。仕事の関係で遠距離恋愛が続いていた。時間がたつと電話やメールも途絶えがち。それでも主人公は「死ぬほど忙しいのだろう」とプラス思考。しかし、それも限界。思い切って彼の住む街、彼の部屋を訪れたのだが、開けた扉の向こうに現れたのは見知らぬ女性。「彼と結婚する」という。

★ 愛する人を失った喪失感。現実を受け入れられないまま、知り合いのバー「袋小路」に下宿することになるのだが。

★ 銀杏の並木道、「黄色い雪が降ったかのような」風景が印象的だった。
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夏樹静子「雨に消えて」

2020-09-12 16:18:10 | Weblog
★ 季節の変わり目、連日、にわか雨に驚かされる。雨にちなんで、夏樹静子さんの「雨に消えて」(光文社文庫)から表題作を読んだ。

★ ある雨の夜、ルリ子が寝室から消えた。ベビーベッドで眠っているからまだ「幼児」だろうか。母親の保江は動転するが、夫の伸正はそっけない。

★ 「何か事情があるのか」と思っていると、2つ目の事件が起こった。近所で悪評判の女子高生が城址から転落し死地をさまよっているのだ。最近、頻繁に保江の家に出入りしていたというから、彼女が「誘拐犯」なのか。と思っていると、女子高生の担任教師が登場する。

★ どんどん話が複雑に重なり合っていく。作者のトリックに翻弄される。ぐるっと回ってエンディング。構成の妙と言うところか。
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映画「ビブリア古書堂の事件手帖」

2020-09-11 02:05:27 | Weblog
★ 映画「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018年)を観た。

★ 「事件手帖」というからコナンくんのような殺人事件の犯人探しかと思って観たが、夏目漱石の「それから」のような恋愛モノだった。

★ 五浦大輔にはトラウマがある。幼少の頃、祖母から「触れてはいけない」と言われていた夏目漱石全集を触って激怒されたのだ。いつもはやさしかった祖母だけに、大輔はショックを受けた。それ以来、彼は活字本が読めなくなったという。

★ 祖母の死後、大輔は改めてその全集に触れてみた。「それから」の巻末に「夏目漱石」という謹呈のサインがあった。本物なら価値はどれほどか。大輔は「それから」に挟まれていた値札にあった「ビブリア古書堂」へ向かう。

★ そして古書堂の今の店主、栞子との出会い。太宰治の希少本をめぐる事件が描かれていた。

★ 古書店というのは本好きにはたまらない魅力がある。今のようなインターネットがなかった時代、古本との出会いはまさに一期一会の縁であった。京都なら河原町や京大近く、大阪ならカッパ横丁、東京ならもちろん神保町。古書店をはしごするのは若い日の楽しい探検だった。

★ この作品はそんな時代を思い出させてくれる。

★ 小説家を目指す男。大輔の祖母の不倫相手のようだが、それが東出昌大さんというのも感慨深い。
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石田衣良「約束」

2020-09-08 21:24:27 | Weblog
★ 石田衣良さんの「約束」(角川文庫)から表題作を読んだ。

★ 小学4年生のヨウジは勉強も運動もできるクラスのリーダー。幼稚園から幼なじみのカンタにとってあこがれの存在だった。この二人に悲劇が起こる。通り魔の凶刃に倒れヨウジは帰らぬ人に。その一部始終を見ていたカンタは心に大きな傷を負った。

★ 普段は平常を装っても、繰り返す自傷行為。なぜヨウジが死に、自分は生き残ったのか。この思いにカンタはつぶれそうになる。そして遂にケリをつけようと家を飛び出した。

★ ヨウジとの思い出の場所を徘徊し、そこでカンタはある体験をする。

★ 人は時として不条理な場面に直面する。現状を理解しようとしても体がそれを許さない。事実を認め、再生への道を歩むのは生易しいことではない。ましてや主人公は小学生だ。

★ 通り魔への憤り、やり場のない無力感。衝撃的な作品だった。カンタは再生へのヒントをつかんだようだ。せめてもの救いだろか。
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