じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

宮本輝「こうもり」

2022-08-06 17:11:53 | Weblog

★ テレビで高校野球の入場行進をちらっと見る。今年は各校、主将だけの行進で、欠場する高校もいくつかあった。このまま無事に決勝まで進めばよいのだが。

★ 夏の高校野球と言えば、主催するのは高野連と朝日新聞社。先日朝日新聞の販売店から電話があった。1年契約の更新月なので、継続してもらえないかとのこと。最近、どうも記事が面白くないので断ろうかどうか考えていたが、最近部数が激減していること、値上げ以降更に減ったことなど聞くと、かわいそうになって継続することにした。朝刊だけで月4200円。これ以上の値上げとなれば、さすがに断ろう。

★ さて、今日は宮本輝さんの「幻の光」(新潮文庫)から「こうもり」を読んだ。30ページ余りの短い作品だが、面白く読んだ。

★ 主人公は妻子がいながら他の女性と交際している。その女性と大阪駅で待ち合わせて、彼女が好きな京都の詩仙堂を訪れるところ。ふと、高校時代の同級生と出会い、ランドウという同級生が死んだことを教えられる。

★ ランドウは他校生やチンピラと血生臭い暴行事件を繰り返し、高校を中退。その後ヤクザの世界に入ったと噂には聞いていた。死因は聞きそびれたが、主人公は高校時代の思い出を回想する。

★ それは、ランドウの彼女らしき女性に会いに行ったこと。乱暴者のランドウ、なぜか主人公には親しく接し、この日は彼女の家を探すを手伝いを頼まれた。(ランドウは彼女の家も知らずに付き合っていたのだ)

★ 彼女の住む所は大阪湾の近く、工場が並び、埋め立て中の土地が広がる。1つ路地に入れば犬の死体がごろごろ転がっているような気味の悪いところだ(このところは印象的だ)。

★ 遂に女性の家を見つけ、ランドウと女性は堤防の向こうへと姿を消した。主人公は待ちぼうけ。こうもりの乱舞だけが印象に残ったという。

★ それから場面は現代に戻る。物語はどう着地したのかよくわからないが、それぞれの場面の情景が心に残る、詩的な作品だった。

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