じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

重松清「バスに乗って」

2020-08-22 20:52:51 | Weblog
★ 本屋に立ち寄った。NHK国際放送が選んだ日本の名作「1日10分のごほうび」(双葉文庫)という短編集を買った。赤川次郎、江國香織、角田光代、田丸雅智、中島京子、原田マハ、森浩美、吉本ばなな、なかなかの顔ぶれの短編が集められている。

★ 吉本ばななさんの「みどりのゆび」を読んだ。妹が植えたアロエ。大きく成長し、真っ赤な花を咲かせている。このまま大きくなれば行き交う人の妨げになりそうだ。いっそ切ってしまえばなんて話になっていた。そんな時、主人公の祖母が病に倒れる。それも重い病だ。病が進み、意識ももうろうとした祖母が、アロエの気持ちを語り出す。それは不思議な体験だったが、主人公はその後植物と心を通わすことができるようになったようだ。

★ 動くことも、ましてや気持ちを出すこともできない植物。しかし、かれらにも何らかの意識があるのかも知れない。深いところでは人も植物も同じ「いのち」としてつながっているのではと考えさせられた。

★ NHK国際放送が選んだ日本の名作には前作があり、それには朝井リョウ、小川洋子、坂木司、東直子、石田衣良、角田光代、重松清、宮下奈都といった人気作家の作品が収められているという。

★ 重松清さんの作品は「バスに乗って」。「小学五年生」(文春文庫)に収められているので、こちらを読んでみた。

★ 小学五年生になった男の子が一人でバスに乗る話。まるで初めてのお使いのようにドキドキしながらの体験。運転手の怖い表情に怯えながらも目的地の「大学病院前」に無事着いた。どうやら母親が入院しているようだ。少年は回数券を買ってお見舞いに通うようになるが、母親の長引く入院に不安が募る。

★ 少年の心の動きが実に繊細に描かれている。
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