じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

横光利一「春は馬車に乗って」

2022-08-24 16:05:33 | Weblog

★ 近隣の小学校、中学校は29日から2学期となる。夏休みもあと数日。気がかりなのがここにきてコロナに感染したり、濃厚接触となる生徒が増えてきた。学校が再開されれば、多くのクラスターが発生するのではと心配だ。

★ 今日は横光利一さんの「機械・春は馬車に乗って」(新潮文庫)から「春は馬車に乗って」を読んだ。ファンタジー、ポエムのような題名だが、予想とは違った展開だった。

★ 作者自身の体験を元に書かれた私小説。新婚間もない夫婦(実際は妻が未成年のため入籍はしていない)。妻は結核を患い、海に近い家で養生をしている。夫は仕事に追われつつも、献身的に妻を看護している。

★ しかし、妻の病状は深刻で主治医からもそれを告げられる。

★ 繰り返される発作。身もだえする妻を気遣うが為すすべがない。発作がおさまると恐ろしいほど静かな時間が流れる。夫婦の会話がリアルだ。

★ 知人から贈られたスイトピー。「まァ、綺麗だわね」と妻。「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先に春を撒き撒きやって来たのさ」と夫。妻は花を抱きしめ、目を閉じる。

★ 美しい静かなエンディングだった。

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