じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

渡邊健一「音楽の正体」

2018-07-01 10:45:01 | Weblog


☆ ヨーロッパの大学ではリベラルアーツとして、文法学、修辞学、論理学、算術、幾何、天文学とならび音楽が教授されたという。音楽には宇宙の運動法則と一体化する何かがあるようだ。

☆ 現代音楽、特にポップミュージックを中心にこの音楽の秘密、「音楽の正体」に迫ったのが、この本だ。

☆ 1993年にフジテレビ系列で放映され、近藤サトアナウンサーの解説が印象に残っている。本書はその時の番組をベースにしたもの。

☆ 目次を見ると

  第1章 レット・イット・ビーは終わらない(変終止のつくるクサレ縁)
  第2章 ブルースも終わらない(禁則移行へのレジスタンス)
  第3章 ユーミンのおこした革命(1)(導音省略のドミナント)
  第4章 ユーミンのおこした革命(2)(保続音のエクスタシー)
  第5章 加山雄三に学ぶ感動の黄金律(旋律の頂点とは何か)
  第6章 風と共に去りぬ秘密(跳躍的旋律のインパクト)
  第7章 モンキーズの見た白日夢ーデイドリーム・ビリーバー(ドッペルドミナントの魔法)
  第8章 赤いスイートピーはどこへ行ったのか(副5度によるシーン展開)
  第9章 津軽海峡イオン景色(音楽の「泣き」とは何か)
  第10章 クランプトンのギターが優しくなく間に(非和声音の麻薬的常用)
  第11章 坂本九・オサリバン・ミスチルの旅したパラレルワールド(胸キュン準固有和音の構造学)
  第12章 シカゴのブラス音が雑踏に消える時(音画的手法とは何か)
  第13章 フランス革命なんて勝手にシンドバッド(絶対音楽とは何か)
  第14章 結婚しようよは最後に言って(黄金のカデンツ)
  第15章 プリンセスプリンセスの見つけたダイヤモンド(転回形と半音階的進行)
  第16章 竹内まりあの「告白」に鼓動を聞く(内声と外声)
  第17章 パリの空の下、シャンソンは流れる(複合拍子の構造学)
  第18章 坂本龍一の中の寅さん(日本音楽の彷徨)
  第19章 ヘップバーンとユーミン(楽曲形式論)
  第20章 なぜ年の瀬に第九が聴きたくなるのか(変奏曲形式とジャズ)
  終章  セーラー服でたどる音楽史

☆ 各章の見出しを見るだけで、涎が垂れそうだ。少々難解な音楽理論をよくここまでわかりやすく解説したものだと感心する。本文中には楽譜もいくつか引用されており、キーボードでもあれば確認しながら読み進められる。

☆ 音楽の秘密はカノンコードだけではなかったのだ。
コメント    この記事についてブログを書く
« 「小説と格闘した時代」 | トップ | 井上荒野「ベーコン」 »

コメントを投稿