★ 宇能鴻一郎傑作短編集「姫君を喰う話」(新潮文庫)から「花魁小桜の足」を読んだ。
★ 孤児として育った小桜は、花魁として長崎・出島で生きている。時代は幕末。小桜はオランダ船の老船長に気にいられ、娘のごとくかわいがられていた。そんな折、船長は国に帰ることに。
★ 再び会えぬことを知り、彼女はある隠れキリシタンから、入信し殉教すれば天国で会えると諭される。
★ 年末の絵踏。そこでキリシタンだと分かれば張り付けられ殉教者となる。彼女は次第に覚悟を決めていくのだが・・・。
★ 最後にはどんでん返しが描かれている。
★ 武家社会の虚構。主君に隷属する武士にとって武士道は都合の良い方便だ。切腹するにも、彼らは「自発的であることでかろうじて自尊心を保」っているという。卑猥な芸能で現世の苦しみからささやかな解放を得る庶民もまた然り。
★ この作品にはそうした世相への批判とエロチックなフェティシズムが描かれている。
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