★ 向かいの家が解体された。私が小学校入学と同時にこの地に移り住んでから、ずっと建っていた家。もともとは本願寺の僧職が住んでおられたが、ここ20余年は空き家のままで外から見ても痛みが激しかった。遂に売却されたようだ。
★ さて今日は住居にまつわる話。永井龍男さんの「青梅雨」(新潮文庫)から「そばやまで」を読んだ。「住まいのことでは、一時思い屈した」で始まる。
★ 戦後間もなくのことであろうか、文筆業で生計を立てようと志した主人公が妻、子どもを引き連れて、住み家探しに苦労する。貧困も底をつき、知り合いの援助と文を売って何とか食いつないでいる始末。
★ 探せども条件に合う家は見つからず、今住んでいる家主の好意で狭いながら家族が肌を寄せ合って暮らしている。
★ 私小説なので大事件は起こらないが、文章が巧いので十分に楽しめる。最後の方で主人公は蕎麦を食べに出かける。その天ぷら蕎麦が実にうまそうだ。
★ 急に寒くなったので、今宵は温かい蕎麦もいいなぁ。
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