じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

辻村深月「芹葉大学の夢と殺人」

2022-02-20 19:52:49 | Weblog
★ ドラマ「FBI 指名手配特捜班」第1シーズン第9話は「FBI 特別捜査班」とのクロスオーバー。見ごたえのあるエピソードだった。分断されるアメリカ、移民国家アメリカの病巣が描かれていた。

★ 京都新聞のコラム「天眼」。浜矩子さんの「日銀の二枚舌願掛けに天罰が下る時」が面白かった。日本銀行が先日実施した「指し値オペ」。私は経済に詳しくないので、どういうことなのか、またそれを実行することにどういう意味がわからなかったが、浜さんの記事で少しわかった気がした。国債への金利上昇圧力を回避しようということか。そもそも日銀が9年前に掲げたインフレターゲットには日銀の「ある意図」があったのかと学んだ。「天罰が下る」とは手厳しいが、誰が得をし誰が損をするのか。

★ 辻村深月さんの「芹葉大学の夢と殺人」(日本ミステリー作家協会編「ミステリー傑作選 ギルティー」講談社文庫所収)を読んだ。冒頭の新聞記事。大学教授の殺人とその容疑者。そして一人の女性の転落死が報じられている。事実だけを捉えればこの通りだが、事件の背景が転落死した女性の視点で綴られていた。

★ 何といっても文章のうまさだ。天下国家が揺るがす事件でもなく、煎じ詰めれば怨恨の果てだが、夢を追い続け疲弊していく男と彼に寄り添い、ある時は姉のように接していた女性が、いつしか彼から離れられなくなり、その呪縛の心地よさから解放されるためにか、終焉に至る過程が描かれていた。

★ 他人から見れば、男性の幼児性とそんな男に振り回される女性が愚かに見えるが、恋愛とはそんなものなのかも知れない。他人がどうであれ、自分の幻想の中で生きることが恋なのかも知れない。

★ 小説は数あれど、辻村さんの作品は一味違う。
コメント