じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

伊岡瞬「悪寒」

2021-03-28 20:36:07 | Weblog
★ 2週連続で日曜日は雨。家から出ることもなく、確定申告を仕上げた。

★ ドラマ「不発弾」(2018年)を観始めたら面白かったので、全部見てしまった。日本を代表する大手電機メーカーの粉飾決算事件から物語は始まる。アメリカの原子力発電所も手掛ける会社と言えばモデルは想像がつく。それに続いて、乳酸菌飲料メーカーや光学機器メーカーなども察しがつく。政界に至っては、官房副長官から内閣総理大臣になり、父親が元外相と言えば、あの人だ。政財界の裏で働く金融コンサルタントを椎名桔平さんが演じていた。感想は原作(相場英雄「不発弾」新潮文庫)を読んでからにしよう。

★ さて、今日は伊岡瞬さんの「悪寒」(集英社文庫)を読み終えた。大手薬品メーカーで働く一人の男が主人公。大手薬品メーカーと言っても同族経営で、腹違いの兄弟が専務、常務として勢力争いをするというのはよくある話。兄弟喧嘩はともかく、それに巻き込まれる従業員はたまったものじゃない。

★ 主人公の男は自らの職責を全うしただけなのに、贈収賄事件に巻き込まれて、地方の系列会社に左遷された。ほとぼりが冷めたら呼び戻すという役員の言葉を信じ単身赴任するも、本社に戻れる兆しはなく、そんな折、東京に残した妻が人を殺したとの連絡が入る。殺した相手は自分を左遷した本社の役員だという。いったい何があったのか、男はわけがわからず、東京行きのバスに飛び乗った。

★ 終盤、目まぐるしく物語が展開する。妻は本当に人を殺したのか。妻がやっていないとすれば真犯人は誰なのか。どんでん返しの連続。

★ 人を99%信じることはできても100%信じきることは難しい。この1%の不信が話をややこしくする。しかし、物語としては、そこが醍醐味だ。

★ サラリーマンは気楽な稼業と言うけれど、封建時代の「お家」構造は根強く、中途半端に出世すると気苦労が多そうだ。経営一族(特に跡取りのお坊ちゃま達)が愚かならなおさらだ。

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