☆ 松本清張さんの「神々の乱心」(文春文庫)下巻を読んだ。
☆ 昭和初期の日本。満州で特務活動をしていた男がシャーマニズムに通じた女性と駆け落ちし新興宗教を始める。最初は金儲けを企んでいたようだが、軍隊の上層部や宮中の女官の支持を得るにつれて、より大きな野望を描きつつあった。
☆ その計画の邪魔となる男の過去を知る人々はやがて死体となって発見される。
☆ 殺人ミステリーとして読むならそれもよいが、それにしてはスケールが大きすぎる。作者が自らの余命を知っていたかどうかはわからないが、蒐集した資料を作品と昇華したかったのであろう。ノンフィクションとフィクションが交錯する雰囲気はよいが、いささか煩雑な感じもする。
☆ 未完の最終章「月辰会の犯罪」で殺人の経緯が明かされるが、今までの悠長な話の流れとはうって変わってこの章は駆け足だ。
☆ 未完ということで「編集部註」にも書かれているように、これからの話の展開は読者に委ねられる。これもまた松本清張さんならではの読者へのプレゼントかも知れない。宮中の派閥抗争、皇位をめぐる争いに展開するもよし、新興宗教が新たな王国を築くもよし、特高警察の吉屋係長の動き、華族の次男坊・萩園泰之の動き、物語はまだまだ続きそうだ。
☆ 昭和初期の日本。満州で特務活動をしていた男がシャーマニズムに通じた女性と駆け落ちし新興宗教を始める。最初は金儲けを企んでいたようだが、軍隊の上層部や宮中の女官の支持を得るにつれて、より大きな野望を描きつつあった。
☆ その計画の邪魔となる男の過去を知る人々はやがて死体となって発見される。
☆ 殺人ミステリーとして読むならそれもよいが、それにしてはスケールが大きすぎる。作者が自らの余命を知っていたかどうかはわからないが、蒐集した資料を作品と昇華したかったのであろう。ノンフィクションとフィクションが交錯する雰囲気はよいが、いささか煩雑な感じもする。
☆ 未完の最終章「月辰会の犯罪」で殺人の経緯が明かされるが、今までの悠長な話の流れとはうって変わってこの章は駆け足だ。
☆ 未完ということで「編集部註」にも書かれているように、これからの話の展開は読者に委ねられる。これもまた松本清張さんならではの読者へのプレゼントかも知れない。宮中の派閥抗争、皇位をめぐる争いに展開するもよし、新興宗教が新たな王国を築くもよし、特高警察の吉屋係長の動き、華族の次男坊・萩園泰之の動き、物語はまだまだ続きそうだ。