じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

松本清張「神々の乱心(下)」

2018-07-05 16:37:14 | Weblog
☆ 松本清張さんの「神々の乱心」(文春文庫)下巻を読んだ。

☆ 昭和初期の日本。満州で特務活動をしていた男がシャーマニズムに通じた女性と駆け落ちし新興宗教を始める。最初は金儲けを企んでいたようだが、軍隊の上層部や宮中の女官の支持を得るにつれて、より大きな野望を描きつつあった。

☆ その計画の邪魔となる男の過去を知る人々はやがて死体となって発見される。

☆ 殺人ミステリーとして読むならそれもよいが、それにしてはスケールが大きすぎる。作者が自らの余命を知っていたかどうかはわからないが、蒐集した資料を作品と昇華したかったのであろう。ノンフィクションとフィクションが交錯する雰囲気はよいが、いささか煩雑な感じもする。

☆ 未完の最終章「月辰会の犯罪」で殺人の経緯が明かされるが、今までの悠長な話の流れとはうって変わってこの章は駆け足だ。

☆ 未完ということで「編集部註」にも書かれているように、これからの話の展開は読者に委ねられる。これもまた松本清張さんならではの読者へのプレゼントかも知れない。宮中の派閥抗争、皇位をめぐる争いに展開するもよし、新興宗教が新たな王国を築くもよし、特高警察の吉屋係長の動き、華族の次男坊・萩園泰之の動き、物語はまだまだ続きそうだ。
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エリート文部官僚の逮捕

2018-07-05 10:49:36 | Weblog
☆ 次期次官候補とされていた文部官僚が受託収賄容疑で逮捕された。リクルート事件をはじめ、文科省(文部省)には今までもいくつかの汚職事件があった。

☆ ただ、今回のように自身の息子の大学合格(入学試験の加点)と引き換えに行政を曲げたというのは珍しい。珍しすぎて、何か裏があるのではと勘繰りたくなる。

☆ 早稲田大学出身で、科学技術庁出身というから、東大出身、文科省叩き上げが本流の文科省にあっては異質な存在だ。昇格、人事が最大関心事である官僚界にとって、異端児の成り上がりに面白からざる人がいたのではなかろうか。

☆ 裏口入学と呼ばれるものは今までもあったのかも知れない。私も東京の某私立大学の入試に手心を加えるように動いている人の話を30年ほど前に聞いたことがある。だからこの手の話は大なり小なりあるのかも知れない。表に出ないから裏口なのだ。

☆ ただ民間人と私立大学との問題だとさほど大きな話題にはならない。今回は教育行政を司る文部官僚のそれも中枢の人物による不正というから大きな話題になる。

☆ 何か他の捜査の途上で明るみに出たのだろうか。それとも内部告発があったのだろうか。あるいはより大きな疑獄事件のトカゲの尻尾切りなのだろうか。派閥抗争なのだろうか。私恨なのだろうか。想像はたくましくなる。

☆ 辣腕な林大臣だが、どう対応するだろうか。
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