☆ 遠藤周作の短編エッセイ集「聖書の中の女性たち」(講談社文庫)から「ヴェロニカ」を読んだ。
☆ この作品、遥か昔に中学校の国語の教科書に載っていた。ゴルゴタの坂道を70キロもの十字架を背負いながら登っていくイエス・キリスト。長期間の拷問ですでに体力は奪われ、進んでは倒れる。苦悩の表情を浮かべる彼に群衆は容赦なく唾を吐き石を投げる。そんなとき、一人の女性が彼に駆け寄り、血と汗に汚れた彼の顔をぬぐった。「罪人」を助けることによって彼女自身が危うくなるかもしれない。しかし、彼女はそうせざるを得なかったのだ。彼女の名前がヴェロニカだといわれる。
☆ その時のイエスの安堵の表情が印象的だ。
☆ エッセイはもう一つのエピソードで締めくくられている。大戦中、フランスの村に傷ついたドイツ兵が舞い込んだ。彼を見つけた女性は、彼を敵兵として差し出すべきか、それともかくまって傷の手当てをするか葛藤する。そして彼女は後者を選んだ。しかし、そのことは他の知るところとなり、ドイツ兵もそして彼をかくまった彼女もリンチの末、殺されてしまう。
☆ 群集心理の恐ろしさ。そして、群集心理の中にあっても「人」として為すべきことをする人の存在。それが男性ではなく女性であったことに作者は感動する。ここにもヴェロニカがいたと。
☆ 以前、アーレントの作品でアイヒマンのことを知った。淡々と事務作業のようにユダヤ人の虐殺を遂行した人だ。逮捕されて見ればごく普通の人だったという。彼をその行為に駆り立てたものは何だったのだろうか。
☆ 私たちの中にも「ヴェロニカ」は存在する。どのような状況であれそれを見失わないように心がけたいと思った。
☆ この作品、遥か昔に中学校の国語の教科書に載っていた。ゴルゴタの坂道を70キロもの十字架を背負いながら登っていくイエス・キリスト。長期間の拷問ですでに体力は奪われ、進んでは倒れる。苦悩の表情を浮かべる彼に群衆は容赦なく唾を吐き石を投げる。そんなとき、一人の女性が彼に駆け寄り、血と汗に汚れた彼の顔をぬぐった。「罪人」を助けることによって彼女自身が危うくなるかもしれない。しかし、彼女はそうせざるを得なかったのだ。彼女の名前がヴェロニカだといわれる。
☆ その時のイエスの安堵の表情が印象的だ。
☆ エッセイはもう一つのエピソードで締めくくられている。大戦中、フランスの村に傷ついたドイツ兵が舞い込んだ。彼を見つけた女性は、彼を敵兵として差し出すべきか、それともかくまって傷の手当てをするか葛藤する。そして彼女は後者を選んだ。しかし、そのことは他の知るところとなり、ドイツ兵もそして彼をかくまった彼女もリンチの末、殺されてしまう。
☆ 群集心理の恐ろしさ。そして、群集心理の中にあっても「人」として為すべきことをする人の存在。それが男性ではなく女性であったことに作者は感動する。ここにもヴェロニカがいたと。
☆ 以前、アーレントの作品でアイヒマンのことを知った。淡々と事務作業のようにユダヤ人の虐殺を遂行した人だ。逮捕されて見ればごく普通の人だったという。彼をその行為に駆り立てたものは何だったのだろうか。
☆ 私たちの中にも「ヴェロニカ」は存在する。どのような状況であれそれを見失わないように心がけたいと思った。