窓から見える青い空を見上げて、思わず微笑んだ。
「いい天気。釣り日和だ」
僕は金庫にしまっておいた釣竿を取り出した。
トトトトトトン
・・・このドアの叩き方は、エディだ。
「ディラくーん。頼まれてた虫ダンゴもって来たよー」
声が聞こえ、僕はドアを開けた。
ポニーテールのタルタル、エディが大量の虫ダンゴを持って立っていた。
彼女はニシヴァヤシ家の調理担当だ。
「ありがとう、エディ。いつも悪いですね。僕が自分で作れたらいいんですが…」
「いいのいいの。きにしないー。えでぃはおべんとたんとうだからー」
「!?いや虫ダンゴは僕が食べるわけじゃないですから!」
「えーそうなのー?残念~」
残念!?
エディの言葉は天然なのか狙って言ってるのか・・・
「と、とりあえず釣りに行ってきますね」
「あいー」
モグハウスを出て、森の区の噴水広場へ移動した。
「ディラー丁度いいところにっ」
モグハウスから出てきたのは、ニシヴァヤシ家の長男ジュイオだ。
「な、なんですか?」
「荷物持っててくれ」
「いやです」
「即答かよ!」
「僕は釣りをしたいんです」
「そういわずに!じゃ、頼むよ!」
有無を言わさず、ジュイオは僕に荷物を押し付けて行ってしまった。
おかげで虫ダンゴと荷物で、かばんに空きがなくなった・・・。
僕はひとつため息をついて、モグハウスに戻った。
あぁ、堀ブナ釣りたい・・・。
「金庫の整理でもしよう」
気を紛らわせるために金庫を開けた。もうずいぶんと使ってない装備がいくつかおいてあった。
「ほこりかぶっちゃってるなぁ」
このままにするのももったいないし、競売に出すことにした。
落札されたら、手間賃として僕がもらっておこう。
数日後、僕は出品した装備が落札されたか確認するため、ポストを覗いた。
装備はすべて落札され、7万にもなった。
これで新しい釣竿買おうかなぁ。
と、いけないいけない。顔がにやけてる。
とりあえず釣りをするために森の区へと出た。
『ディラ君、お元気かしら?』
どき、僕の心臓がひとつ高鳴った。そして汗が流れ出す。
この声は・・・。
『え、と元気です。ウィングル姉さん・・・』
『そう、よかったわ。ところでディラ君。装備を売って所持金増えたそうね?』
『ど、どどこでそれを・・・!』
あせって危うく舌をかみそうになった。
『あら、本当なのね』
!!し、しまった・・・。
『ニシヴァヤシ家の財産は共有よ。貯金してね♪』
冷たく笑うウィングル“姐さん”の顔が頭に浮かんだ。
『・・・・・・はい』
泣いてしまおうか・・・・。
お金を送った後、僕はおとなしく堀ブナを釣った。ただひたすらに。
エディが横にやってきて、こう言った。
「ディラくん、おべんとたべる?」
「・・・うん」
本日の釣果
堀ブナ60匹
活きのいいカッパーリング3個くらい
活きのいいレギンス1個
小さすぎてつれなかった(カッパーリングよりも!?)4回くらい