茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記27年12月15日「クリスマスに備えて美容鍼を受けて見ませんか?」

2015-12-15 09:04:03 | 日記

当院では「北川式美顔鍼」の施術を行っております。

クリスマスに備えて「美容鍼」を受けにお客様が見えられました。

クリスマス・初詣・成人式などイベントが目白押しですね。

美容鍼といっても施術の方式として「全体治療+美容鍼」と「美容鍼」単独の二種類のスタイルがあります。

「全体治療+美容鍼」の施術をするところは少ないようですが当院では「美容鍼」の前に「積聚治療」による全体治療を行い、その後に「北川式美顔鍼」による施術を行うのがスタンダードとなります。

美容鍼の前に全体治療を行うことにより、体全体の気・血・水の流れを調えると、美容鍼の効果と持ちが違います。

今回は「目の下のクマと肌のくすみ」が気になるということでした。

「東洋医学」では、五臓の状態が顔に表れると言う考え方があり「顔は五臓の鏡」といわれます。

具体的な例を挙げますと、
・肝の働きが悪いと「瘀(お)血」と言われる目の下のくまが出来たり。
・脾の働きが悪いと顔色が黄色く萎びて見えたり。
・肺の働きが悪いと吹き出物・肌荒れが起きたり。
・腎の働きが悪いと顔色が煤けた様に黒くなったり、浮腫んだり、髪が白髪になったりします。

当院ではお客様の顔に鍼を刺すだけの美容鍼ではなく、根本にある様々な症状の「本」となっている五臓の状態を調える「本治法」により治療し、その後に顔に鍼をする「標治法」により五臓の失調でお顔に生じた症状を改善するのを基本としております。

美容鍼のお客様の多くは「私は体の具合が悪い所はありません。」「美容鍼に来たのに何故体全体に鍼をするのですか?」と質問されます。
しかし良く話しを伺うと、肩こり・頸凝り・頭痛・冷え性などの症状をお持ちの方が多いのです。


目の下のくま、肌のくすみなどは「肝実お血証」が原因であることが多く、「ただ顔に鍼を刺すだけ」では期待する効果が出にくいのです。

当院では「肝実お血証」の場合は「脾虚証」で治療する事が多いですね。

何故かと言えば「肝」が実することにより相克関係にある「脾」が虚しているからです、東洋医学では「先ず補ってから寫す」というのが原則にあり「脾虚肝実お血証」の場合も「脾」を補してから「肝」を寫す事になります。

全体治療後「美容鍼」は「北川式美顔鍼」で施術し、短鍼を使い鍼管を使わず二指推鍼法でお顔に30本を刺して置鍼しました。

「全体治療+美容鍼」を終えますと、肌のくすみ、目の下のクマが改善され、お肌が白くなり透明感が増しました。



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壽堂日記27年12月14日「風邪の鍼灸治療。」

2015-12-14 06:47:02 | 日記

鍼灸治療と言うと腰痛・肩凝り・膝痛などの運動器系疾患と美容鍼だけと思われるかもしませんが、内科系・内分泌系・婦人科系の病気も治療できます。

昨日は「風邪」のお客様が来院されました。妊娠中で薬を飲みたくない患者さんが偶に「風邪」の治療に見えられる事があります。

来院の本来の目的は「肩凝り」でしたが、喉が痛く、熱があり、背筋が凝っています。「肩凝り」も「風邪」から来ているのかもしれません。

普通であれば内科の受診をお勧めするのですが、あいにく日曜ですので、「肩凝り」に加えて「風邪」の治療も行いました。

最初に「積聚治療」で本治法を行いその後にお灸がメインの「澤田流太極療法」を使用し、「風邪」の治療の配穴を加えました。

「風邪」の治療穴は「風門」「身柱」「合谷」「曲池」等を使用しました。

「風門」「身柱」は「風邪」治療の伝統的な組み合わせで去風清熱の作用があります、「風門」は風邪が侵入する場所として風の門と呼ばれている代表的な「風邪」治療のツボです。

さらに喉が痛いというので十二経脈の病症として大腸経の「合谷」「曲池」を併用しました。


「合谷」は大腸経の原穴、「曲池」は大腸経の合穴となります。


治療後は「肩凝り」「喉の痛み」「発熱」「背部の凝り」も解消『お腹がポカポカする』と話されていました。 

薬を飲まずに「風邪」が治るのであれば、その方が良いですよね。


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壽堂日記27年12月13日「不妊症の治療・胚移植と鍼灸。」

2015-12-13 06:21:37 | 日記

不妊治療で「胚移植」をされる予定の患者さんがお見えになりました。

「胚移植」の直前と移植後に鍼灸治療を受けると妊娠率や出産に至る確率が高まる事はよく知られており、当院には「胚移植」前後に治療を受けられる患者さん、採卵の前段階から鍼治療を受け「妊娠し易い体創り」の為に患者さんがお見えになります。

この元になった研究はアメリカのメリーランド大学医学部統合医療センターの研究員らの調査で

「体外受精時の胚移植の前後に鍼治療を受けることで、その後の妊娠率や出産に至る確率が高まることが明らかになった。」

と報告されています。

この報告は欧米4ヶ国で実施された1366名の女性を対象に、体外受精時の胚移植の前後に、伝統的な鍼治療を受けた女性のグループ、にせの鍼治療を受けた女性のグループ、そして、何も施されなかった女性のグループのその後の成績を比較したところ、伝統的な鍼治療を受けたグループは他のグループに比べて、妊娠した割合が65%、そして、出産に至った割合が2倍であることが分かったそうです。

体外受精時の胚移植の前後の鍼治療は、その後の妊娠率や出産率を向上させることがデータで裏づけたられた訳ですね。

鍼灸治療が不妊治療に有効であることを示す各国の論文としてはその他に代表的なものとして

・胚移植日に鍼治療を行うと体外受精、顕微受精の妊娠率を上昇させる。
 273例を研究対象とし、鍼治療を行わない群では22%の妊娠、鍼治療群では36%の妊娠率であり、鍼治療群が妊娠率が高かった。(アメリカ生殖医学学会誌2006年 デンマークでの研究結果)

・体外受精と顕微授精例の黄体期に、鍼治療を行うと、鍼治療群に妊娠率が高かった。
 225例を対象とした、鍼治療を行わなかった群では13.8%、行った群では28.4%の妊娠率で鍼治療群に妊娠率が高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 ドイツでの研究結果)

・体外受精例に鍼治療を3回行い、鍼治療群に妊娠率が高かった。
228例を対象に、HMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後に鍼を行い。行わない群では23%、鍼治療群では31%の妊娠率で、鍼治療群に妊娠率は高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 オーストラリアから研究結果)

などがありますし、国内でも同様な研究成果が報告されています。

鍼治療がどのようなメカニズムで不妊治療の成功率を高めるのかはよく分からないとしていますが、ストレス緩和の効果も大きいのではないかとされています。

ストレスを受けることで、人の気血水の流れが変調します。

胚移植の前後の気血の流れの変調は、胚が着床し、妊娠が継続することに、何らかの影響を及ぼしていると考えられます。

体外受精を受ける女性にとって、胚移植の前後に鍼灸治療を受けて、気血の流れを調え、ストレスを緩和することはとても大切です。

当院では体外受精の胚を戻す前と後に鍼灸治療を受けることをお勧めしております。


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壽堂日記27年12月10日「冷えのぼせ(血の道)と鍼灸。」

2015-12-10 05:54:29 | 日記

12月に入り朝晩寒さが厳しくなりましたね。

今日は女性に多い「冷えのぼせ」の鍼灸治療について具体的な治療に則し御紹介したいと思います。
今回は刺さない鍼を使う「積聚治療」で治療しました。

患者さんは、肩凝りが辛いと言うことで来院されましたが、顔面が紅潮し、問診すると頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛、冷えのぼせ等の症状を訴えられました。


主訴は「冷えのぼせ」で頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛は典型的な「血の道」の症状であることが分かりました。

つまり、気が体の上部に昇ることで、気が充満した部分で肩凝り・頭痛・肩背部痛等が起き、気が虚した下部で虚痛が起こるわけです。その根本は「冷え=精気の虚」が原因であると考えます。

脈診したところ、脈は遅脈で左の脈が全体的に沈み、陽気不足、虚寒で新陳代謝が衰えていることが伺えました。

具体的な治療は最初に腹部に接触鍼をして、腹部の最も浅い気を補います。

鍼は刺さりません、患者さんも「全然痛く無いです。」と言うことでした。


次に脈診をして脈調整を行います、今回は左手の脈全体がマイナスなので、心包経の原穴である大陵に鍼をしましたが、鍼は先を当てる程度で刺入せず、気がいたるのを待って抜鍼します。

その後一番大切な証を立てるため、腹診します。「積聚治療」では腹診で証を立てます。

今回は臍の周りに圧痛と硬結が有り、特に臍の下一寸の圧痛・硬結が強いので「脾積脾虚証」として治療を進めることにしました。
経絡治療的には「脾虚肝実お血」による「冷え」であろうかと思います。

臍下まで圧痛・硬結があるので「お(瘀)血」が古いと考えられます。脈が遅脈なのも「お血」が多く血流が悪いためです。

下腹部の「お血」があると冷えのぼせ、肩凝り、頭痛、ノイローゼ、血の道症、高血圧、動脈硬化、不妊症、月経不順などの各種婦人に罹り易くなります。

不妊症は「冷え」と「お血」が原因であることが多いですよね。

背部で全体に接触鍼をして「積聚治療」の「脾虚」の順治で治療していきます。右肩の肩井、天宗の凝り、圧痛が著明のため、その部分を指標として、鍼を背部の兪穴に当てて治療していくと、段々指標の部分の凝りが緩んできます。患者さんが「のぼせていたのが、すうーと下がりました。頭が痛いのが治まりました。」と教えてくれました。

「本治法」なので凝り・圧痛のある右肩の肩井、天宗の部分には鍼を刺しません。原因はあくまで「脾虚」であり「脾虚」を治すことで全ての症状が治ると考えるのが「本治法」です。


背部の治療を終了した段階で頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛、冷えのぼせ等の症状は改善しましたので、再度仰臥位で腹部を確認すると、先ほどの臍下の圧痛、硬結が無くなっていたので「脾虚=精気の虚」は補われたと判断し、今回は治療終了としました。


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壽堂日記27年12月9日「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と鍼灸治療。」

2015-12-09 06:03:04 | 日記

当院では「不妊症」の治療に取り組んで居りますが、悪阻・浮腫み・逆子など妊娠・出産されるまでの様々な症状の治療も行っております。

最近気になるのは「排卵誘発剤」を使用した後に体の不調を訴える患者さんが多い事です。

具体的な症状としては下腹部痛、帯下(たいげ)(おりもの)の増加、腹満感、尿量減少などがあります。

「排卵誘発剤」は卵子(らんし)が卵巣(らんそう)から排出(排卵)されるのを促進する薬です。

一般的には、月経不順や無月経、排卵障害が原因の不妊症の治療に使われますが、排卵が普通にある場合でも、人工授精や体外受精のときに、妊娠率を上げる目的でもよく用いられます。

 卵巣には、卵子を包んでいる卵胞がつまっており初潮から閉経までの間に、毎月1個ずつそれが成熟して、左右交互に排卵されます。
 
排卵の調節には、脳の中の間脳視床下部と脳下垂体と卵巣とが、相互に関連しあっています。

間脳の視床下部から黄体形成ホルモン放出ホルモンが分泌され、その刺激により脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、このホルモンが卵巣を刺激し、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)が脳に作用して排卵がおこります。

したがって、脳の間脳、下垂体系や卵巣に問題があると、排卵がスムーズにいかなくなり、無排卵の状態になって、妊娠も不可能になります。

 クエン酸クロミフェン製剤(内服剤)は、間脳にはたらき、黄体形成ホルモン放出ホルモンの分泌を促し、その結果、下垂体から分泌された卵胞刺激ホルモンが卵巣にはたらき、排卵をおこさせます。

この薬は、無排卵周期症や第1度無月経などの比較的軽い排卵障害では、非常に高い効果がありますが、頸管粘液(けいかんねんえき)の減少や、子宮内膜(しきゅうないまく)の発育が悪くなったりすることがあります

hMG(下垂体性ゴナドトロピン)製剤(注射)は 卵巣を直接刺激することによって排卵をひきおこす、排卵誘発剤です。

hMG製剤を使用すると同時に多数の卵胞が刺激を受けるので、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と言う症状が起きることがあります。

同時に多数の卵胞が刺激を受けて発育してくるため、卵巣が腫(は)れてしまい、おなかに水がたまります。さらに重症になると胸にも水がたまり、血管の中の水分が不足するので、血液が濃くなって粘り気が増します。

自覚できる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、腹満感や、下腹部痛、体重増加、腹囲増加、尿量や尿の回数の減少、口が渇く感じなどです。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)がおきてしまったら、卵巣が腫れ、下腹部痛、帯下(たいげ)(おりもの)の増加、腹満感、尿量減少などの症状がみられます。

そのような症状がある患者さんには治療を受けた病院で至急相談するようにお話しています。

患者さんのお体を拝見すると脾陽虚であったり腎陽虚であったりと様々ですが受ける印象としては体の陰陽バランスが崩れている状態です。鍼灸治療は陰陽バランスを調え、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の症状を軽減するのに有効であると考えます。

数日前に「排卵誘発剤」を服用して一ケ月近く「不正出血」が止まらない方に鍼灸治療を行いました。お医者さんの治療も受けているそうですが思わしくないと言う事です。

その患者さんが再来院されたので「お加減如何ですか?」とお尋ねしたところ

『前回鍼灸治療を受けてその日の内に一ケ月続いていた「不正出血」がピタッと止まり鍼灸の効果に驚きました。』

と言う事でした。

治療内容的には刺さない鍼を使用した「積聚治療」で丁寧に全体治療を行い補助治療として営池四穴と三陰交と腹部にお灸を行いましたが、よく効いた様です。

厚生労働省の統計によると赤ちゃんの30人に一人は「体外受精」で生まれるそうです。「排卵誘発剤」を使う方も多いと思います。

鍼灸治療は陰陽バランスを調え母体となる女性の体を妊娠し易い体に創るお手伝いをいたします。


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