茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記26年6月15日「鍼がそんなに響きます?」

2014-06-15 07:34:31 | 日記
久しぶりに治療を受けに来られた患者さんを治療、かなり体全体の凝りが強く疲労してる感じがします。

腹診は腎虚なのですが、補助で虚労の治療を行うつもりで腎陽虚証として治療を開始、背部兪穴に鍼先を当て、一穴目に静かに鍼を摩り下ろすと『今日は一段と強く、気が入ってくるのが分かります。もう背中の筋肉が緩みました。』と言うのです。

治療は鍼を体に刺入しない「積聚治療」で治療しています。

一穴ごとに丁寧に鍼をすると色々なところに響きが流れました。疲労が強いので一層効果が強い様です。

気が入る感じは鍼が響くのとは違う感覚の様ですが、患者さんの中に稀に気の動きに敏感な方が居られます。

鍼が効きすぎるようなので抑え気味で治療しましたが、腎虚証なので最後に腎経の復溜に軽く鍼を当て再度「響きますか。」と尋ねると『上半身まで響が届いています。』との事。

基本治療で腎の気が十分補えたので虚労の治療はドーゼオーバーとなるので行わない事としました。

治療後の患者さんとお話したのですが私は直伝霊気の伝授を受けていますが治療メニューの中には入れていません。
あくまで治療は鍼灸治療で当院では霊気だけの治療はしていませんが鍼を当てることで霊気が流れることはありますし、それはプライスレスです。

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壽堂日記26年6月12日「脾虚証で不正出血が止まらない。」

2014-06-12 11:30:28 | 日記
当院では「不妊症」の鍼灸治療に取り組んでおりますが、「不妊症」だけではなく婦人科系の症状全般も治療しております。

今日は不正出血が止まらないとのご相談を受けました。

東洋医学的に考えると、五臓の一つに「脾」がありますが、「脾」の働きの中に「統血を主る。」機能があり「脾気」の持つ固摂作用で血脈を運行している血が必要以上に脈外に漏れ出さないようにしていますが、「脾」が弱まり「脾の気」が衰え「脾虚」になると、出血、血便、血尿、不正出血などが起きる事があります。

腹診すると胸脇苦満があり腹部全体が硬く、「脾陰虚」より一段階と進んだ「脾陽虚」であると判断して治療方針を立て治療をしました。

治療は刺さない鍼を使用する「積聚治療」を本治法として用い先ず「脾虚」を補い、補助治療として命門・中脘・気海と三陰交・営池四穴を用いました。

営池四穴は唐代の医学書「備急千金要法」に記載されている鍼灸処方の一つで「婦人の下血漏赤白(異常な出血、帯下)。」に効果があるとされています。


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壽堂日記26年6月9日「刺さない小児鍼。」

2014-06-09 05:04:34 | 日記
夜泣き・かんむしの治療に小児鍼の患者さんが来院されました。

小児鍼は一般の刺す鍼と異なり、皮膚刺激を主体とした鍼法で、体に刺入する事はありません。

当院ではてい鍼あるいは調気鍼という皮膚刺激用の器具を用いて治療しております。

画像は当院で使用する「調気鍼」で皮膚の当たりが柔らかい銀製を使用しております。

小児鍼の対象は乳幼児から学童期の小児であり、成人より反応性の良い皮膚感覚を利用した治療法です。

その適応症として、夜泣き・かんむし・夜尿症などがあります。

小児鍼は皮膚感覚を介して交感神経の緊張状態を変化させる一種の変調療法であり、病気は異なっていても「小児鍼」は身体全体の不調を自律神経を調える事で改善します。

ではなぜ小児鍼は治療効果があるのでしょうか。

小児鍼は皮膚感覚を介して交感神経の緊張状態を変化させる変調療法であると上で紹介しました。

乳幼児期の大脳皮質は成人に比べて刺激の耐容性が弱いため各種の刺激で疲労し易く正常な反応を示さなくなります。

乳幼児は大脳が未発達であるため、自律神経のコントロールが不十分であり、間脳性の反射亢進を示します。

また乳幼児は自分の意思伝達を十に行えないため興奮状態となり、動物的な表現方法をとります。

それが情緒不安定を招き、小児自律神経症状をあらわすのです。これらの状態に対して皮膚刺激が抑制的に働くのではないかと考えられています。

つまり小児鍼による皮膚刺激が大脳・皮質下中枢に対して強い制止作用を示し、大脳の異常な状態を改善すると考えられています。

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壽堂日記26年6月8日「湿度が高いとなる病気。」

2014-06-08 06:46:37 | 日記
東北地方まで梅雨入りして昨日は一日強い雨でしたね。

気温も低く治療院の中の湿度計は76%を指していました。

この様な天気の時は風寒湿の三邪が同時に体を襲い、「気」の循環が悪くなります。このとき発生する病を東洋医学では庳(ひ)と呼び、湿による痛み痺れを「湿庳(ひ)」と呼びます。


東洋医学では、自然界には風・暑・火・湿・燥・寒の六つの気が存在するという考えがあり、これらが病気の原因に変化した時をそれぞれ風邪・暑邪・火邪・湿邪・燥邪・寒邪といいます。

その中の「湿邪」は自然界の湿という気が体内に侵入し病気の原因となります。

「湿邪」は陰性の邪気で体の下部を犯しやすく、重く停滞し陽気を損傷し「気」を阻害します。症状としては頭や体が重く、手足に倦怠感がでたり、湿邪が関節に滞ると痛みや腫れがおこります。

昨日来院された患者さんは「湿庳」の典型的な症状でした。

頭が重怠く痛み、頸肩が凝り・腰が痛く・冷えが足から昇ってくる等様々な症状を訴えられましたが、原因が「湿庳」であるならそれを取り除けば痛みなどの症状は改善されるわけです。

四診した結果「腎虚証」として治療する事とし「温補補腎」を治療方針としました。

治療方法は澤田流太極療法を用い、お灸を主として用い、鍼は補助的に使用しました。

治療前は冷たかった足底も、徐々に暖かくなりそれに伴い頭痛・頸凝り・肩凝りも和らいできました。

今回は行気を促し痛庳を鎮めるため「四関穴」と虚労の治療ため「五華の灸」を使用しましたが。
治療を終えた患者様は「すっかり痛みが取れました。」と喜んで帰られました。

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壽堂日記26年6月7日「なぜ鍼は鎮痛効果があるのか?」

2014-06-07 06:21:23 | 日記
「ことぶき堂鍼灸院」では疼痛緩和の治療をしていますが「鍼は何で鎮痛効果があるのですか?」と質問されます。

実際治療を受けて鎮痛効果は体感できますが、理由を知りたいという訳です。

痛みに対する東洋医学の基本的な考え方は「不通即痛」つまり、気のめぐりの悪くなっていると痛む、気のめぐりを改善することで痛みをとるというものですが、鍼鎮痛の科学的な解明はいまだ進んでいないのが現状です。

仮説としては幾つかあり、
1. ゲートコントロール学説:鍼刺激が脊髄において痛みを抑制するとするもの。
2. エンドルフィン・エンケファリン説:鍼刺激がモルヒネ様鎮痛物質の遊離を促進し痛みを抑制するといもの。
3. 末梢神経の遮断効果説:鍼刺激が末梢神経の痛みのインパルスを遮断するといもの。
4. 軸策反射による血流の改善説:刺鍼により血管拡張物質が放出され血管が拡張し筋肉の緊張をゆるめ血流状態を良くし乳酸・発痛物質を洗い流すとするもの。
5. 刺鍼による痛覚閾値上昇説:鍼刺激による痛覚閾値が上昇することにより鎮痛効果が起こるとするもの。
などが主流でした。

最近の研究で鍼治療の鎮痛効果を科学的に説明するデータがようやく一つ出ております。

それによれば鍼(はり)治療は「アデノシン」と呼ばれる鎮痛作用をもつ自然の化学物質の分泌を促すことによって痛みを抑えることが明らかになり、

「アデノシン」は、負傷後に、神経信号を抑えて痛みを和らげるために、皮膚の中で活性化する神経調節物質であり、「アデノシン」のレベルの低下を遅らす作用をもつ、特定の悪性腫瘍治療薬を鍼治療に加えることによって、鍼治療の鎮痛効果を高めることができることを、ネズミの実験で確認したそうです。

これはあくまで西洋医学的な方法による検証結果なので東洋医学的なアプローチが待たれるところですが、鍼鎮痛に対する西洋医学的な証明がなされたことは意義があることです。

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