茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記7月14日「前立腺肥大と浮腫の鍼灸治療。」

2012-07-14 18:05:32 | 日記
前立腺肥大は多くの男性が経験する症状ですね。当院でも前立腺肥大の相談を受けることがあります。

今日は前立腺肥大が原因の浮腫と頻尿の患者様を「積聚治療」で治療しました。
尿は東洋医学的に「気の概念」として考えれば身体の熱を調節するもので、身体に尿が溜まると身体の熱が吸い取られて身体が「冷え」ます。さらに尿を排出するためには、一定の「気」の力が必要です。尿の排出に障害がある方は、身体の「冷え」が強く、「気」の力が出せないため、水分が身体に残り「浮腫」となると考えられます。
前立腺肥大など器質的な異常は特に「精気の虚」が強く「冷え」が強いと言えます。

今回の患者様は「冷え」がかなり強く、「陽虚」でしたので。「積聚治療」の第4方式を選択、曲骨上の圧痛が著明であるため「腎積腎虚証」で治療を開始しました。
「積聚治療」は「気を動かして冷えを取る治療」です。
背部の膀胱経2行線を四穴治療した段階で足の浮腫が取れて来ましたので「冷え」が取れて来たと判断し、督脈上の命門上の灸をして、最後に右足の照海の圧痛が残ったので、照海の施灸も考えましたが、補助治療で左太谿を巨刺して反応を見ると、右足の照海の痛みが緩解、曲骨上の圧痛も消失していたので今回は治療終了としました。


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壽堂日記7月11日「刺さない小児鍼。」

2012-07-11 06:16:52 | 日記
小児鍼についてお問い合わせがありました
小児鍼は一般の刺す鍼と異なり、皮膚刺激を主体とした鍼法で、体に刺入する事はありません。
当院ではてい鍼あるいは調気鍼という皮膚刺激用の器具を用いて治療しております。
画像は当院で使用する「てい鍼」で皮膚の当たりが柔らかい金製を使用しております。

小児鍼の対象は乳幼児から学童期の小児であり、成人より反応性の良い皮膚感覚を利用した治療法です。
その適応症として、夜泣き・かんむし・夜尿症などがあります。
小児鍼は皮膚感覚を介して交感神経の緊張状態を変化させる一種の変調療法であり、病気は異なっていても「小児鍼」は身体全体の不調を自律神経を調える事で改善します。

ではなぜ小児鍼は治療効果があるのでしょうか。
小児鍼は皮膚感覚を介して交感神経の緊張状態を変化させる変調療法であると上で紹介しました、乳幼児期の大脳皮質は成人に比べて刺激の耐容性が弱いため各種の刺激で疲労し易く正常な反応を示さなくなります。乳幼児は大脳が未発達であるため、自律神経のコントロールが不十分であり、間脳性の反射亢進を示します。また乳幼児は自分の意思伝達を十に行えないため興奮状態となり、動物的な表現方法をとります。それが情緒不安定を招き、小児自律神経症状をあらわすのです。これらの状態に対して皮膚刺激が抑制的に働くのではないかと考えられています。つまり小児鍼による皮膚刺激が大脳・皮質下中枢に対して強い制止作用を示し、大脳の異常な状態を改善すると考えられています。

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壽堂日記7月10日「冷房と冷えの関係。」

2012-07-11 05:49:49 | 日記
本格的な夏が到来し、各家庭や職場で冷房が入り始めました。そうすると増えるのが「頸椎症」や「むち打ち症」の患者さんの
筋肉の凝りです、頸部は服の外に出ており、冷房の風が当たります。この時期患者様には頸を冷やさないようにご注意をしていますが、冷房の中ではショールなどを頸に巻き付けておくことをお勧めしてしております。「頸椎症」や「むち打ち症」の初期に炎症があるときは患部を冷やすのが通例ですが、冷やし過ぎは「気血の流れを阻害し」「筋肉を硬くし」します。
また「不妊症」の患者様にも身体を冷やさないようにご注意をしています。特に足先を冷やさない様にご注意下さい。頸部も足首にも動脈拍動部がありますが、それは取り見直さず血管が皮膚に近い処を通っているからで冷房が動脈の血を冷やします、身体の「冷え」にご注意下さい。

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壽堂日記7月3日「ヘルニアと足指の痺れ。」

2012-07-03 18:59:32 | 日記
先月足先がしびれると治療を受けに来られた患者様が一ヶ月ぶりに来院、症状を伺うと、一枚のMRIの画像見せられました。 前回、足の第五指と足部外側が痺れて感覚がなく、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)に力が入らないと云うので、これは足指が患部ではなく腰椎の異常が原因と判断し、神経の走行から腰椎の5番と仙骨の一番のヘルニアの可能性が高いから専門医で見て貰うようにアドバイスしました。 MRIの画像を見ると腰椎の5番と仙椎の1番の間から巨大ヘルニア後側方に脱出しているのが写っていました。 椎間板ヘルニアというのは、椎間板の中心にある髄核という柔らかい組織が後縦靱帯繊維の最も弱い後側方を突き破り外部に漏れて神経を圧迫し、それが原因で神経が炎症を起こす病気です。 神経の圧迫だけでは痛みを起こしませんが、圧迫のために起こった炎症によって痛みが生じます。 痛みを取るためには、神経の炎症を抑える事が重要です、炎症が治まれば痛みは軽くなりますし髄核から漏れた水分を含んだ柔らかい組織は日時が経過すれば次第に水分を失って治癒します。 鍼灸治療は鎮痛・消炎作用があり、髄核物質の退縮を促進させます。 腰と足を丁寧に鍼と灸したら痛みが軽減しましたので、保存的措置の場合鍼灸治療もお役に立つことができると思いましたが、主治医の勧める保存措置入院2週間の安静を検討されるようにお話いたしました。

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壽堂日記7月2日「むち打ち症の鍼灸治療。」

2012-07-02 19:58:00 | 日記
整形より転院の「むち打ち症」の患者さんを治療開始、今日の患者さんは、事故後6ヶ月で症状が改善しないため当院に転院して来ました。

「むち打ち損傷」の治療で鍼灸治療と思われるかも知れませんが、「頸椎症」や「むち打ち症」には鍼がとても効果的です。
整形・整骨などで行う、牽引は頸の椎骨動脈が「むち打ち」の衝撃で折れ曲がっているときやヘルニアでは、牽引によって頸椎を引き伸ばし、椎骨動脈を真っ直ぐにしたり、椎間板内を陰圧にしてヘルニアを引っ込めたりします。「むち打ち損傷」=外傷性頸部症候群(TCS)の治療について、ケベックWAD(むち打ち症関連障害)重症度分類では頸椎牽引は他の治療法との併用を推奨しております。
治療についてお医者さんの指示に従うのは当然ですが、頸椎牽引・物理療法(温熱、マッサージ、低周波)の他に鍼灸治療も選択肢に入れておくと良いと思います。 

交通事故による「むち打ち損傷」ではありませんが、スポーツ傷害による「頸椎症」で何十年も辛い症状に悩まされていた方が、当院で鍼灸治療を受けられ良くなっていく例を間近で見ても鍼灸治療は「外傷性頸部症候群(TCS)」の治療に非常に有効であると思います。

患者様個々の症状に合わせて治療するのが、なにより重要です。

当院では熟練の手技と鍼と灸のみで、常に患者さんの傍らに付き添い治療いたします。

頑固になった「むち打ち損傷」の症状は、なかなか簡単にほぐれたり、治ったりするものではありません。

1治療方針
当院では「むち打ち損傷」=外傷性頸部症候群(TCS)の治療について、ケベックWAD(むち打ち症関連障害)重症度分類により治療計画を作成しております。 
GradeⅡまでは鍼灸治療を併用するのが非常に効果的です。GradeⅢ以上は外傷性頸髄・神経根損傷にカテゴライズされておりますので当院ではGradeⅡまでの外傷性頸部症候群(TCS)の治療を行っております。

2受傷機序
効果的な治療をするには「むち打ち損傷」の受傷機序について考えて治療することが非常に重要です。
まず 、追突衝撃により、体幹が前上方に投げ出される様な力がかかり、頭部は慣性によりその場に残るため、相対的に上位頸椎は屈曲位、下位頸椎は伸展位となり、その後に全頸椎が伸展位を取るという、頸椎椎間関節への圧迫負荷による障害を受けます。
さらに、上位頸椎後方を支えている後頭下筋群や、大小後頭神経等の軟部組織も急激な屈曲に伴う過伸展に大きなダメージを受けます。当院の「むち打ち損傷」の治療ではこの受傷機序を前提に患者様の体を診ながら適切な場所に治療いたします。

3治療内容
受傷機序から、まず「後頭下筋群」に対する治療を行います。
後頭骨と頸椎からは様々な神経が出ています、大後頭神経・小後頭神経・大耳介神経・頸横神経・顔面神経などが代表的な物ですが、こうした神経は筋肉が痙攣すると圧迫されおかしくなります。
これらの神経の根部を締め付けているのは、上頭斜筋・後頭直筋 ・大後頭直筋・下頭斜筋などになりますので、これらの筋肉を緩めて神経の圧迫を取り除くため、その筋肉に対してアプローチいたします。
次に「頸部浅層筋」に対する治療を行います。僧帽筋・胸鎖乳突筋 ・頭半棘筋・頭板状筋・頭最長筋などは急性期の筋痛が改善した後も、凝り感が続く場合が多く、その場合は緊張や循環の改善を目的として「頸部浅層筋」に対するアプローチをいたします。
当院では、ごく細い鍼を使用し筋肉を緩め、頸部の血流を改善する治療を行い、さらに円皮鍼を使用し鍼の効果を持続させる治療をしております。なぜ鍼で痛みが軽減し、筋肉が緩み、血行が良くなるのかは、以前ブログで御紹介したのでそちらを御覧下さい。
当院では土日も開院しておりますので、安心して治療に専念出来ます。
当院では個々の患者様に合わせた治療計画を考え、早期回復、早期職場復帰を目指し治療しております。

多くの方が事故後、当初は痛みがそれほどで無かったとしても、運が悪く示談後の1~6ケ月後に症状が出てくるケースもありますので、まずは少しの痛みだけだったとしても、示談前にしっかりとした鍼灸治療を受けられることを当院では強くお勧めしております。

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