ベル麻痺について。
現代医学的には「ベル麻痺」とは顔面神経麻痺のうち原因が明らかでないものを云い。イギリスの解剖学者チャールズ・ベルの記載から彼の名前が付けられる様になった病気です。
「ベル麻痺」の症状として
・片側の顔に症状が起きることが多い
・額のシワ寄せ不能
・閉眼不能
・鼻唇溝消失
・口角下垂
・口笛が吹けない
・口角から水がこぼれ、頬を膨らませられない
などがあります。
「ベル麻痺」の多くは単純ヘルペスの再活性化に関連して発症すると考えられていますが原因は不明で寒冷刺激や感冒、過労が誘因となることがあります。
東洋医学的には「口眼歪斜」「面癱(メンタン)」「口僻」と呼ばれ、外感の風寒が顔面の経絡「陽明・少陽」に侵襲し経絡の流れに異常をきたし、経筋が滋養されず弛緩して収縮して起こるとされます。
「ベル麻痺」の鍼灸治療としては全体的な調整療法を行うと共に局所療法を行います。局所療法は鍼を主として行います。
「口眼歪斜」は「霊枢」経脈篇に既に記述があり、鍼灸治療の配穴としては「金匱要略」の「人中・風府」「百症賦」の「翳風・聴会」「鍼灸資生経」の「聴会・頬車・地倉」などがあります。
攅竹・陽白・四白・客主人・顴髎・地倉・下関・聴会・天柱・風池などを用いて証型に応じた配穴で治療し健側の顴髎・下関にも鍼をするとよい効果が出ますし「ベル麻痺」の患者さんは肩や首が凝っている場合が多いのでその治療も必要です。