茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記9月9日「不妊症の鍼灸治療。」

2012-09-10 05:15:13 | 日記
不妊症の原因の一番は「冷え」二番は「お血」です、「お血」とは古い血が滞ることです。「お血」も「冷え」の原因になります。
「冷え」とは「精気の虚」のことで、猛暑で「冷え」が改善されることはありません、逆に「猛暑による疲労」で「精気の虚」が強くなり
「冷え」が強くなることが考えられます。
元々「精気」は「陰」の性質を持つものですから、夏場で「陽の気」が盛んになりやすく「陰虚陽盛」になりやすい季節です。

今回のお客様は20代女性、既婚、子供無し、「経早」と言う症状で、生理が終わったと思ったら直ぐに始まり生理痛が辛いということでした。

生理が始まると痛みで、何も手につかないと言う訴えで、下腹部から腰にかけて引き攣るように痛み、冷えのぼせ・頭痛・肩こり・腹痛・腰痛・生理痛という症状でした。

腹診をすると、脾の領域、特に臍の周り、腎の領域、特に曲骨の周りに圧痛硬結、臍周囲に冷感が見られました。
特に左下腹部の硬結が著明で、東洋医学的には「小腹急結」と云う「お血」の腹証でした。
足の方を診てみると脾経の三陰交の反応が飛び上がるほど痛く、頭ののぼせ感が強く、烏口突起の圧痛も強くありました。

お話を聞くと、この夏は猛暑で冷たいものを沢山召し上がられたそうですが、冷たい物を食べても体の「陰気」を補うことは出来ません。
生理が早く始まった原因は体質虚弱・飲食不節、労倦などにより「脾気が損傷」したため「脾の統血作用の不調」により「脾気」が足りなくて血が抑えられないのがであると判断しました。

今回は脾虚症として上実下虚が強いため「積聚治療」第4方式で治療しました。

腹部接触鍼をすると腹部の引き攣れ感が改善、脈調整は太淵を使用、烏口突起の圧痛とのぼせ感は納まりました。
臍周りの冷感も改善し、お腹がふっつくらとして来ました。

最後に残った臍左の硬結を「積」として脾積脾虚症として治療を進める事としました。

背部接触鍼を行うと、腰部の腎経「志室」付近が冷たくざらざらとした感じを受けます。

何回か背部接触鍼を行うと、ざらざら感が減少、健側を右に取り、右背部膀胱経2行線に4穴、一行線に2穴、最後に督脈上に灸、命門上に箱灸を行いました。膀胱経一行線の腎兪を治療中「足先が温まってきました。」と報告してくれました。

命門上の箱灸をすると、お客様は「腰がポカポカして気持ち良い、お腹の痛い所に届く感じがして、お腹も温かい、痛いのが治まった。」と感想を述べられました。

仰向けになって頂いて、再度お腹を診ますと、左臍脇の硬結と痛みがとれて、腹部全体がふっくらとして柔らかく暖かくなっています。

先ほど痛かった脾経の三陰交の反応を診ると、痛みは軽減していましたが、巨刺を使用し気を意識して軽く鍼を当て仕上げに肩井に鍼をして
冷えのぼせと生理痛も引き攣れ感も治まったので今回は治療終了としました。

今回の鍼は積聚治療用に開発された、先の丸い積聚鍼を使用し、刺入はしませんでした。積聚治療は鍼法は接触鍼が基本なので鍼を刺入する事に抵抗感がある方でも安心して治療を受けることが出来ます。

当院の不妊治療は「母胎を妊娠し易い状態に改善すること。」を目的としております。お客様の症状で、脾虚症で治療するのか肝虚症その他の虚症で治療するのかは変化しますが、根本の「冷え=精気の虚」を治すということは変わりありません。
不妊症・婦人科の症状で悩みの方は一度鍼灸治療を受ける事をお勧めいたします。
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