茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記26年5月23日「脊椎すべり症と膝の痛み。」

2014-05-24 07:55:42 | 日記
ここ数日寒暖の差が大きいですね。

昨日は腰下肢が痛いと言う方が多くお出でになりました。

腰下肢痛といっても、色々な原因があります。

腰痛ならば、姿勢性腰痛・筋・筋膜性腰痛、椎間関節性腰痛、変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、分離・すべり症など

下肢痛ならば、坐骨神経痛、利状筋症候群、大腿神経痛などがあります。

今回は「脊椎すべり症と膝痛の治療」を取り上げて当院ではどのような治療をするか、ご紹介したいと思います。

「脊椎すべり症」が鍼灸治療で治るのかと疑問に思う方もいると思います。

「脊椎すべり症」は椎骨が真下の椎骨に対して前方に滑って移動した状態の事をいいます。

「脊椎すべり症」自体を治すことは鍼灸治療では出来ませんが、痛みを緩和することは出来ます。

腰下肢痛を東洋医学的な考え方で捉えれば、臓腑、経絡、経筋に関係すると考えます。
急性のものは、外邪や外傷による気血阻滞による血おが原因によるもの(不通則痛)
慢性のものは「腎虚」によるものが多く東洋医学では「腰は腎の府」と呼ばれています(不栄則痛)

今回の患者様は「脊椎すべり症」と整形外科で診断され、膝も痛いと言うことで来院されました。

膝が痛む場合は、下肢前面の足陽明胃経、下肢後面の督脈・太陽膀胱経、大腿前面、下肢外側の少陽胆経についても切経して指標を確認する必要があります。

切経すると左膝関節外側に圧痛があり、左下肢全体が浮腫んでいる状態でした、関節には邪が溜まりやすく、東洋医学では「邪好みて寝る」と言われています。

腹診では小腹不仁(下腹部「臍下」に力が無くフワフワしている状態)であったので腎の病変、腎虚症とし、寒湿が気血の運行を不利し、腰部の経絡の気が阻滞(不通)し痛みが発症したと考え、治療方針として圧痛がL5督脈上と左殿圧に著名なので経筋の変調も視野に、血流改善、筋緊張緩解、鎮痛を目的とし、まず本治法として積聚治療を用い巨刺(右側)で「精気の虚」を「補法」で丁寧に補っていきます。

積聚治療の特徴は刺さないことです、刺して痛みを与えると「瀉法」になってしまいます。鍼で治療して「精気の虚」を補うにつれて左足の浮腫が取れてきて、腰の痛みも緩解し、冷たかった足先も気血が巡って来ました。

「補法」の鍼で「正気の虚」を補った後に、更にお灸で「補法」を行います。今回の痛みは「寒湿の邪」が乗じて生じたものなので灸法で熱を入れることにより緩解します。

命門上に箱灸を置きゆっくり温補しましたが、患者さんに様子を聞くと「膝の痛みが消えました。」との返事でした。普段うつぶせ状態だと膝に痛みが出るのだそうですが、「今は全然痛くない。」との事でした。

最後に委中に巨刺(反対側治療のことで、経脈が病んでいる時、病が右にあれば左に、左にあれば左に経刺する事)をして治療を終了しました。

「委中」は「四総穴」の一つで「腰背は委中に求む」と言われる、腰下肢治療の代表的な経穴です。

本治法で「腎兪」を使用していますので、「委中」+「腎兪」を併用すると相乗効果で、和表裏、通経絡、利腰脊、止疼痛作用がより高まります。特に膝部分の「膝痛」の治療はしませんでしたが、全体治療で「本」の症状が改善すれば、それに伴う他の症状も改善します。

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