茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記26年4月10日「不妊症(心虚証)の鍼灸治療。」

2014-04-11 07:13:14 | 日記
不妊症の治療に患者さんが来院されました。

当院では「刺さない鍼」を使用した「積聚治療」で治療を行いますが腹診で「証」を立てて治療しますので同じ患者さんでも日によって「証」が変わります。

今日は「心胸部の閉塞感と痛み、背部の痛み」が一番気になるということでした。その他にも「冷え性・慢性の疲労感・不眠・肩こり」などの症状がありました。

指標を探ると左の内関と外関の反応が強く心脈の阻滞が伺われました。

心脈の阻滞とは心脈の流れが悪くなり起こる病症であり。

原因は「心気虚・心陽虚」で心の気血が渋滞し瘀(お)血が形成され心脈を詰まらせることとされています。
それが更に進み「心血瘀滞」となると胸苦しさや前胸部痛や背部痛が起こります。

腹部の接触鍼・脈調整後に腹診すると心窩部の巨闕付近の圧痛が一番顕著であるため「心積心虚証」として治療を進めることとしました。

「心積心虚証」ですが今回は「心陽虚」としました。

「心陽虚」の典型的な症状は心悸・自汗・精神倦怠・心胸部に閉塞感と痛み・寒がり・四肢の冷えです。

手順に従い治療を行い、背部を軽擦すると左の心兪から膈兪までが盛り上がり緊張しているのが分かります。

背部の右膀胱経に軽く鍼を当て静かに摩り下ろしていくと、志室の時は「反対側の腰に響いています。不思議な感じがします。」肩外兪の時は「耳に響きます。」などと患者さんが教えてくれました。

特に鍼を「響かせる」のが目的ではありませんが、鍼を当てていく場所を変えるのに従い、背部の緊張が取れて行きます。

背部の「基本治療」後に心兪・厥陰兪に灸による温痛心陽、膈兪で活血化瘀・痛絡止痛をはかりました。

仰臥位で再度「巨闕」付近の圧痛を確認するとかなり軽減していましたが、最後に補助治療として四肢の内関を使用して理気通絡止痛を行うと「巨闕」の圧痛もすっかり取れました。

治療後は心胸部の閉塞感と痛み、背部の痛みも取れ、肩こりもスッキリして体がホカホカしてきたそうです。

不妊症の原因は多くは冷えと瘀(お)血とストレスです、その三者は密接に関係しています。

鍼灸治療は病の大本を治療することで体の気・血・水の流れを調え、臓腑の気を補い、女性が妊娠しやすい体を創ります。


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