集中力を欠かさず走り切り、好調の首位争いの相手から勝ち点3獲得。
最前線に武藤、大迫、佐々木、2列目に宮代、井手口と強烈なタレントを揃えた6連勝中の2位・神戸の地に挑んだ一戦は、神戸の圧倒的に攻勢を掻い潜ったFC東京がアクシデントにも屈せず、効果的な得点とボールを跳ね返し続けてのクリーンシートで勝利。首位争いを演じている神戸の7連勝を阻むとともに、前節・鳥栖戦でのドローを払拭するアウェイでの勝利で近5試合無敗と好調をキープした。
神戸は前節からは負傷の井出に代わって佐々木が入った以外は、前節と同様の10人が先発出場。一方、FC東京は当初先発として名を連ねていた俵積田がウォーミングアップ時に負傷するアクシデントがあり、急遽遠藤が左ウィングで先発に。東廉太がベンチに入った。木本が累積警告で出場停止となったCBは岡と森重のコンビ、SBは右に中村、左に長友を配した。
序盤から球際の攻防が激しい展開が続くが、ボールを支配していたのは神戸。特に長友の裏のスペースを狙って、武藤、大迫、井手口らが絡みながらFC東京陣内へ圧を掛けていく。FC東京はなかなかゴール前までボールを運べず、防戦一方だったが、GK野澤大志ブランドンの好セーヴや空中戦で森重が跳ね返し続け、瀬戸際で踏み止まる。
このままの流れでは失点も時間の問題かと思われた24分、左サイドから東慶悟が浮き球のクロスをゴール前へ供給すると、荒木が胸で中央の遠藤の前へ落とし、ハーフバウンド気味のタイミングで遠藤が素早くシュート。GK前川が左腕を伸ばすも届かず、ゴール右隅に決まって、FC東京が先制に成功した。
押し込まれ続けていたFC東京だったが、このゴールで精神的に安定し始めたのか、ディエゴ・オリヴェイラ、荒木、安斎が連動して前へのプレスを欠かさず、ボールを奪われても東慶悟や高の中盤が執拗に神戸攻撃陣に対応するなど、集中力を維持。そのなかで右サイドからの荒木のクロスに安斎が飛び込む絶好機があったが、僅かに枠の右に外してしまう。FC東京のシュートチャンスは得点時とこの絶好機くらいで、それ以外は神戸の時間帯だったが、神戸はあと一歩のところでゴールを割れないまま後半へ。
後半開始直後から佐々木を汰木にスイッチし、左サイドからのドリブル突破を図る神戸。ゴール前で森重が宮代を倒してFKを与えるが、大迫のFKは壁に当たり、FC東京が難を逃れると、荒木がペナルティエリア内でゴールが見えない体勢から振り向きざまにループシュート。あわや得点かと思われたが、ここはGK前川が必死のセーヴでクリア。次の1点がどちらに入るかが重要な展開となっていく。
この流れを引き寄せたのは、FC東京。54分に右サイドでFKを得ると、荒木がGK前川とDFの間でバウンドする扱いづらいクロスを放り込む。ファーサイドに流れたところを安斎がダイビングヘッドで押し込んで、FC東京が追加点を奪取。すると、FC東京は前線でタメを作り、労を惜しまずプレスを掛け続けていたディエゴ・オリヴェイラをエヴェルトン・ガウディーノにスイッチ。一方、反撃に出たい神戸は宮代をジェアン・パトリッキに代える。神戸は攻撃の圧力は高いのだが、武藤、大迫、宮代、佐々木とポジションが被ることが多く、ややゴール前で渋滞をしている感じも。上手くボールを振り分ける配球役に乏しかったこともあり、攻め立ててはいるものの、決定的なシーンになかなか持ち込めない。
10月中旬ながら、暑さや湿度の高さで疲労が激しかったからか、FC東京はGK野澤大志ブランドンが2度ほど足をつり立てなくなったところで、急遽GKを波多野に交代。その後、神戸は井手口を広瀬、初瀬を本多に、FC東京は東慶悟を土肥、遠藤を野澤零温、荒木を山下にそれぞれ代えて、終盤へ。神戸がさらにゴール前へ圧を掛け、ほぼ神戸がボールを支配していくが、FC東京がことごとく跳ね返す展開に。扇原の右CKからペナルティエリア中央の武藤がドンピシャのヘディングシュートを放つが、交代したGK波多野が片手で止めるビッグセーヴ。神戸はこの日最大のビッグチャンスを決め切ることが出来なかった。
神戸は80分に山川に代えて菊池をピッチに送り出すと、高さのある菊池をターゲットにボールを放り込んでいくが、森重や岡のCB陣を中心に跳ね返し続ける。ゴール前では身体を投げうってブロックし、高い集中力を崩さずに、タイムアップ。神戸のシュート13本に対して、FC東京は4本、CKも神戸の6本に対してFC東京が僅か1本、ボール支配率も神戸が7割弱を占める内容だったが、最後まで集中を切らさず走り切り、決定機を逃さなかったFC東京に軍配が上がった。
FC東京は、序盤から神戸に押し込まれ、ボールを奪ってもその後のパスがズレたり、攻撃を仕掛けようとしたところでトラップが大きくボールを奪い返されてしまうなど、細かいところでは正直精度に欠いていた部分が散見。球離れや判断もワンテンポ遅く、リズムが生まれず苦心した展開となっていたのは、大きな課題だ。それでも泥臭く集中力を切らさずに走ることで、一瞬のチャンスを生み、そこで決め切ることで勝利を手繰り寄せた。シュート数はじめ各種データ数値はリーグ全体でも下位にありながら、異様に得点率が高かった今季前半戦のような内容を再び見せたというところだろうか。攻撃においては、やはりディエゴ・オリヴェイラと荒木らの距離感が近いとチャンスクリエイトも増える。そして、なにより神戸相手にクリーンシートで終えたことが今後の自信に繋がるのではないだろうか。
そのほかの課題でいえば、GK野澤大志ブランドンのバックパスを受けてからのロングキックの精度はにまだ難があり、直接相手ボールとなってしまうところは早急な改善が必要。また、試合展開的に難しかったのかもしれないが、途中交代のエヴェルトン・ガウディーノ、野澤零温、山下にはもっと前へプレスを掛け、3得点目を挙げて試合を決めてしまうくらいのアグレッシヴな攻撃を見せてもらいたかった。今回の俵積田の負傷がどの程度かは判らないが、仲川もおそらく今季は復帰は厳しく、安斎もカードが累積しているなかで、先発の可能性も出てくるはずだ。そのアピールのためにも、ゴールという結果を示すことが、チーム力の向上にも繋がってくる。
FC東京は勝ち点51となり、暫定6位。土曜の試合結果にもよるが、3位・町田とは勝ち点8差、4位・G大阪とは同3差、5位・鹿島とは同2差にまで詰めてきた。こういう上位に喰らいつけそうな展開でことごとく勝てずに来ていることから、そろそろ卒業しなければならない。リーグは残り4試合。今季リーグでは13試合で2勝6分5敗と2勝しかしていなホーム味スタでの試合も残り2試合となった。間隔は空くが、まずは、次節の味スタでの湘南戦でしっかり勝ち点3を捥ぎ取ること。湘南はあと1勝すれば大きく残留に近づく勝ち点38組の一角ゆえ、決して容易な相手ではないが、今節同様に集中力を切らさずに走り勝ちたい。そして、国立での町田戦、アウェイ磐田戦を経て、最終節のホームC大阪戦へと連勝で締めくくりたいところだ。
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明治安田J1リーグ 第34節
2024年10月18日(金)19:03KO
ノエビアスタジアム神戸
入場者数: 15,153人
天候:曇 / 気温:24.7℃ / 湿度:73%
主審:中村 太
副審:武部陽介、赤阪 修
第4の審判員:田中玲匡
VAR:吉田哲朗
AVAR:川崎秋仁
神 戸 0(0-1 / 0-1)2 FC東京
【得点】
(神):
(東):遠藤渓太(24分)、安斎颯馬(54分)
〈試合経過〉
05分 警告 神戸 井手口陽介
07分 警告 東京 ディエゴ・オリヴェイラ
17分 警告 東京 安斎颯馬
24分 得点 東京 遠藤渓太
46分* 交代 神戸 佐々木大樹 → 汰木康也
54分 得点 東京 安斎颯馬
59分 交代 東京 ディエゴ・オリヴェイラ → エヴェルトン・ガウディーノ
62分 交代 神戸 宮代大聖 → ジェアン・パトリッキ
66分 交代 東京 野澤大志ブランドン → 波多野豪
72分 交代 神戸 井手口陽介 → 広瀬陸斗 / 初瀬 亮 → 本多勇喜
72分 交代 東京 東 慶悟 → 土肥幹太 / 遠藤渓太 → 野澤零温 / 荒木遼太郎 → 山下敬大
80分 交代 神戸 山川哲史 → 菊池流帆
【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 02 中村帆高
DF 03 森重真人
DF 30 岡 哲平
DF 05 長友佑都
MF 08 高 宇洋
MF 10 東 慶悟
MF 71 荒木遼太郎
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 22 遠藤渓太
FW 38 安斎颯馬
〈控えメンバー〉
GK 13 波多野豪
DF 32 土肥幹太
DF 50 東 廉太
MF 40 原川 力
FW 14 山下敬大
FW 28 野澤零温
FW 98 エヴェルトン・ガウディーノ
〈監督〉
ピーター・クラモフスキー
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【明治安田J1リーグ 2024シーズン FC東京試合日程】
第01節 02月24日(土)15:00△FC東京 2-2 C大阪(A・ヨドコウ)
第02節 03月02日(土)15:00△FC東京 1-1 広 島(H・味スタ)
第03節 03月09日(土)16:00✕FC東京 1-2 神 戸(H・味スタ)
第04節 03月16日(土)13:00〇FC東京 3-1 福 岡(A・ベススタ)
第05節 03月30日(土)15:00✕FC東京 0-3 川 崎(A・U等々力)
第06節 04月03日(水)19:30〇FC東京 2-1 浦 和(H・国 立)
第07節 04月07日(日)17:00〇FC東京 2-0 鹿 島(H・国 立)
第08節 04月13日(土)16:00△FC東京 2-2 東京V(A・味スタ)
第09節 04月21日(日)15:00✕FC東京 1-2 町 田(H・味スタ)
第10節 04月27日(土)14:00〇FC東京 3-1 新 潟(A・デンカS)
第11節 05月03日(金)15:00〇FC東京 2-1 京 都(H・味スタ)
第12節 05月06日(月)14:00〇FC東京 2-1 札 幌(A・札幌ド)
第13節 05月11日(土)17:00△FC東京 3-3 柏 (H・味スタ)
第14節 05月15日(水)19:00✕FC東京 1-3 名古屋(A・豊田ス)
第15節 05月19日(日)15:00△FC東京 1-1 横浜FM(H・味スタ)
第16節 05月26日(日)15:00✕FC東京 0-1 G大阪(H・味スタ)
第17節 05月31日(金)19:00〇FC東京 1-0 鳥 栖(A・駅スタ)
第18節 06月16日(日)18:00△FC東京 1-1 磐 田(H・味スタ)
第19節 06月22日(土)19:00〇FC東京 1-0 湘 南(A・レモンS)
第20節 06月26日(水)19:00〇FC東京 1-0 札 幌(H・味スタ)
第21節 06月30日(日)18:30✕FC東京 0-1 福 岡(H・味スタ)
第22節 07月06日(土)19:00✕FC東京 2-3 柏 (A・三協F柏)
第23節 07月13日(土)19:00〇FC東京 2-0 新 潟(H・国 立)
第24節 07月20日(土)18:00✕FC東京 1-2 鹿 島(A・カシマ)
第25節 08月07日(水)19:00△FC東京 0-0 G大阪(A・パナスタ)
第26節 08月11日(日)19:00✕FC東京 0-3 川 崎(H・味スタ)
第27節 08月17日(土)19:00△FC東京 0-0 東京V(H・味スタ)
第28節 08月24日(土)19:00✕FC東京 0-3 京 都(A・サンガS)
第29節 08月31日(土)18:30✕FC東京 2-3 広 島(A・Eピース)
第30節 09月14日(土)19:00〇FC東京 4-1 名古屋(H・国 立)
第31節 09月21日(土)19:00〇FC東京 2-0 浦 和(A・埼 玉)
第32節 09月28日(土)17:00〇FC東京 3-1 横浜FM(A・日産ス)
第33節 10月05日(土)15:00△FC東京 1-1 鳥 栖(H・味スタ)
第34節 10月18日(金)19:00〇FC東京 2-0 神 戸(A・ノエスタ)
第35節 11月03日(日)14:00 FC東京 ✕ 湘 南(H・味スタ)
第36節 11月09日(土)14:00 FC東京 ✕ 町 田(A・国 立)
第37節 11月30日(土)14:00 FC東京 ✕ 磐 田(A・ヤマハ)
第38節 12月08日(日)14:00 FC東京 ✕ C大阪(H・味スタ)
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