アウェイでの鳥取戦、FC東京は引き分け以上でJ1昇格となる3位以内を確定する。代表から今野が、累積警告による出場停止から森重が復帰、堅固なCBが揃った。現在低迷している鳥取だが、目の前での歓喜は見たくないはず。ホームの地を利して戦ってくることが予想された。
前半は森重のFKからのゴールによる1点のみ。鳥取は実信の決定機があったが、東京がゴールラインを割らせず折り返す。
後半は東京のゴールショウとなった。羽生のふわりとしたパスを足元でコントロールしたルーカスがDFを一瞬かわして這うようなグラウンダーのシュートを決めたのがスイッチとなった。ロベルト・セザーがエリアラインに沿って相手DFと競りながらゴール中央まで持ち込み走り込んできた谷澤の前に出すと、谷澤がごれを豪快に蹴り込んで3点目。さらには、途中交代の鈴木が左からエリア内にドリブルで進入すると、フェイントで相手DFをかわしてゴール右へシュートを決める。その後鳥取に1点を返されるが、最後はセザーのシュートをGKが弾くと、それを鈴木がループ気味に流し込もうとするも再度GKが跳ね返す。だが、そのボールがゴール正面に転がったところを、駆け込んできた上里がゴール中央上に突き刺して5点目。昇格決定を祝うのに相応しい大量得点で幕を閉じた。
言いたいことがない訳ではない。すでに勝負を決した0-4から1失点されるというのは、決して良いことではない。J1昇格が最終目標ではない東京にとって、さらに厳しいJ1で戦うためには、必須課題となるところだ。
とはいえ、リーグ戦前には圧倒的な戦力で優勝候補筆頭だったが、J2の厳しさを学びながら、さらには怪我人を多く抱えながら、しっかりと1年でJ1復帰を果した結果を残したことは評価されていい。
起用選手や戦術もほぼ固定されているような形となり、控え選手などにはなかなかモチベーションが上がりにくい環境ではあったと思うが、腐らずにその間しっかりと練習と準備をしてきた選手たちが多かったことが、結果として表われたのだと思う。今日で言えば、途中交代からシュートを決め、最後は上里のゴールを呼んだ形となったが、セザーのシュートが弾かれた後のボールをしっかりと枠内へシュートを放った鈴木のプレイなどには、そのような努力の影が窺えた。
これで昇格条件の3位以上が確定したが、まだ優勝は決まっていない。当然優勝はしなければならないし、またその先のJ1へ向けても最後をしっかりと勝って終えることが大切だし、次に繋がることになる。
奇しくも、次の対戦相手は前回オーロイの衝撃的なゴールなど3失点で敗れた千葉だ。2008年には千葉が降格にがけっぷちだった最終節、東京が2点リードの0-2から11分の間に4得点されて“奇跡的な残留”を許してしまった相手だ(その時に同点弾と4点目を決めたのは谷澤)。可能性としては低かったが、FC東京は勝利すればACL出場権の4位を狙える位置にはいた。これまでの借りをしっかりと返して、J1へ復帰しなければならない。あと2戦勝利して、苦しかったJ2リーグを有終の美で飾りたい。そして、元日へ向けての原動力にしたい。
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Jリーグディビジョン2 第36節
2011/11/19 とりぎんバードスタジアム
鳥取 1(0-1、1-4)5 FC東京
【得点】
(鳥):福井(85分)
(東):森重(23分)、ルーカス(51分)、谷澤(70分)、鈴木(80分)、上里(90+2分)
観衆: 5,746人
天気: 曇、弱風
<メンバー>
≪FC東京≫
01 GK 塩田仁史
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
33 DF 椋原健太
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平 → 32 MF 上里一将(72分)
27 MF 田邉草民 → 11 FW 鈴木達也(62分)
39 MF 谷澤達也
22 MF 羽生直剛
49 FW ルーカス → 09 FW ロベルト セザー(67分)
31 GK 常澤聡
14 DF 中村北斗
17 MF 永里源気
38 FW 坂田大輔
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【追記】
「これで昇格条件の3位以上が確定したが、まだ優勝は決まっていない」とありますが、鳥栖が北九州に敗れたため、優勝が決まってしまいました。次節ホームで優勝の瞬間をと思いましたが、なんだか微妙な優勝確定になったようで……。
オーロイ、ミリガンが出場停止な千葉との戦いに勝っても完全なるリヴェンジとはならないかもしれませんが、今年は残り無敗で行きたいものですね。

