シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

エイトマンの忘れ難いシーン

2006年11月21日 | コミック界を語る
東探偵の秘書さち子の服装が連載当初から殆ど変わらず、いつも “同じチェック柄のセーター” です。 制服じゃないんですから、着た切り雀では可哀相ですよ (桑田は女性誌などで服を調べるのが面倒くさかった?)。 夕暮れや夜の空を、白黒の中間の灰色や真っ黒でなく、所々「雲を表すようなコンブ」(冒頭イラスト … 少し加工しています) がたなびいている描き方は抜群でしたね。

エイトマンの眼の下からほほにかけての "線" が涙の線のようにも見えて、「哀愁のヒーロー」に繋がるのかも __ 桑田本人が意識して描いたかどうか。 エイトマンは涙を流しませんでしたが、緊張すると "汗を発散" していましたね。

悪役の顔は、目玉の黒い部分は縦長の丸で描かれているだけのことが多く、憎らしい表情がよく出ています。 魔女は特に強調され、ヘビの眼のようでしたね。
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短編「決闘」の結末で、谷博士の息子がエイトマンとの決闘に破れて亡くなります。 エイトマンが「博士はすべてをなくしてしまわれた」というと、「いや ... わしにはお前がいる」と谷が返事した後、エイトマンの無言の表情が何ともいえません。

短編「復讐鬼ゴースト」結末で、悪役は罰を受け 地球の外へ放り出されます。「パパは裁きを受けたのね」と泣き悲しむ悪役の娘に、エイトマンは「これからは君一人で生きていかなければならないんだよ」と励まします __ ここも爽やかな気持ちにはなれません。

短編「サイボーグ PV1号」結末で、サイボーグとなった男が人間に戻れず 腹いせに暴れ出そうとするのを、エイトマンは仕方なく電撃を浴びせて倒します。 田中課長が「よくやったな」と呼びかけても、エイトマンは肩を落として振り向こうとしません ... 哀愁ただようシーンです。
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最終シリーズ「魔人コズマ」で、さち子が東探偵の正体を知ってしまいます。 エイトマンは、 「エイトマンが死んでも正義は死にません」と谷博士にいって去り、探偵事務所のガラス窓に映る「さち子の影」に別れを告げ、最終決闘に赴きます。 谷博士は「死んではならんぞ」と走り去ったエイトマンに呼びかけるのです__これらも哀愁をそそる場面です。

コズマを倒した後の結末では、さち子が待つ事務所に東探偵は入ることができませんでした。 正体を知られたからには、戻れなかったのです __ ここも悲しいエンドシーンですね。 しかし、TV アニメのどのエピソードだったか忘れましたが、同様にさち子が正体を知っても、谷博士にその記憶を消してもらうという設定もありました。
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初期の「怪力ロボット007」と「光線兵器レーザー」が、エイトマン・シリーズの絵の中で最高の出来でしたね。 逆にいうと、その後は絵の技量がこれらを上回ることはなかった感があります。

桑田作品すべてを読んだわけではありませんが、どうやら 彼は飽きっぽい性格らしく、新シリーズを書き始めて3~5作目あたりの出来がよく、その後は技量を維持することに飽きていくようです。

新シリーズ当初は意欲がみなぎって、いいものを描こうと精力を注ぐのでしょうが、人気が出て暫くすると 飽きて別の題材が頭の中を占めて興味が減退する__この繰り返しのように思います。『月光仮面』なども最後の頃は弟子に任せてしまい、当時 小学生だった私自身、子供心にも面白さがなくなったと感じたものでした。

「007」の最後のコマには、珍しく笑顔で終わるエイトマンが描かれていました __ A4サイズの講談社版単行本で発行された時に書き加えられましたが、リム出版復刻版ではなくなりました。

「レーザー」の最後のコマ (冒頭) では、レーザーを開発した女性科学者が復讐の相手に撃ち殺され、亡きがらをエイトマンが両手で抱き上げて 憂いを帯びた表情で立ちつくしているのが何とも印象的でした。

... と、このように哀愁を帯びた顔のエイトマンで終わる結末が多く、ヒーローものでありながら、悲壮感が残るコミックだったことが忘れられません。 また、それがこのシリーズの魅力だったのでしょう。

「エイトマンのリメイク作品」へ続く 


1 コメント

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はじめまして (ナチゴン)
2014-03-24 23:35:24
はじめまして。8マン、大好きです!父から話を聞いてマンガを読んでみたところ、どっぷりハマってしまいました。8マンももちろん大好きなのですが、悪役で一番好きなのはゲーレンです。はじめて読んだとき、彼なりの信念を貫き通す姿に惚れ惚れしました。
私は今まだ高校生ですが、8マンには「ジェネレーションギャップ」というものを感じません。絵柄もストーリーも、現代にあってもおかしくないものだと思います。

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