シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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3年後にアップルが EL 採用って、どういうこと?

2015年12月08日 | 電子産業は花形?
右写真は手の形をしたケース「どっきりいたずらカバー」。
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日経が11月26日朝刊で、スマートフォンを年間 2億台販売する大手のアップル社が2018年発売の iPhone に、従来の液晶パネルに加え、有機 EL を搭載する製品を発売する計画との記事を載せました。
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『iPhone に有機 EL 採用 パネル産業が変わる』(11月26日 日経新聞) __ (アップルは) 従来の液晶パネルに加え、鮮明な画像と省電力が特長の有機 EL を搭載する製品を3年後に発売する計画。 有機 EL は発光量や省電力の性能が経年劣化しやすいという技術的な課題を抱える。 今後1年程度で弱点を改善し、安定的に供給を受けられるかを見極める。
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それによると、現製品の液晶パネルをアップルに供給するのは、韓国の LG ディスプレー/日本の JDI /日本のシャープの3社らしく、もし3年後に有機 EL を採用となると、この3社のうち現在 有機 EL を製造しているのは、LG ディスプレーだけですから 日系メーカーからは採用しないかも知れません。

また 一方では、スマホ向けの中小型 EL パネルを製造しているメーカーは韓国のサムスン電子と LG ディスプレーなどだけで、特にサムスン電子は自社のスマホに EL を搭載しているからか、中小型 EL パネルの14年製造実績シェアはサムスン電子 93%、LG ディスプレー 1% というから、ほぼ韓国勢の独占状態にあります。

日本勢が有機 EL を製造していなかったわけではありません。 07年にはソニーより11インチの有機 EL を採用した薄型 TV が販売されましたが、その後ソニーは撤退しました __ 製造歩留まり (良品率) が悪かったと想像しています。

また 山形大を中心に長年研究をしていますが、なかなか成果が出てきていないようです。 一方で 液晶パネルが鮮明なうえ、安価で供給されている現状では、有機 EL の出る幕がない、というのが実態でしょう。
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『iPhone、少なくとも2018年までは有機 EL 採用なし、アナリスト予測』(11月26日 ニュースイッチ)
『iPhone 8 は有機 EL 採用? 日経報道』(11月26日 Itmedia)
『Apple が iPhone に有機 EL ディスプレイを採用の噂は本当か』(11月26日 Junya Suzuki/マイナビニュース)

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ソニー撤退後 13年に有機 EL を TV に積極的に採用しようとしたのは、韓国メーカーのサムスン電子と LG でした。 しかし あまりに製造歩留まりが悪く (一説には良品率がたったの 1% )、価格がなかなか下がらないので、サムスン電子は TV 向けから撤退し 中小型 EL パネルを製造して、自社のスマホに採用しています。 LG は製造し続けていますが、まだ高価格です。
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こういう環境で降って湧いたアップルの有機 EL 採用。 普通 電子機器メーカーが新素材を採用するのに、わざわざ “3年後に採用します” などいわないものです。 黙って新製品のプレゼンで サプライズ・ショーとして発表するものです。 特に秘密主義のアップル社であれば、なおさらです。

逆に 素材メーカー、パーツ供給メーカーにかんこう令を敷いて、一切 新製品情報を事前に漏らさないようにしてきたのがアップルの歴史ですから、今回は余計に普通ではないことを想像させます。 背景には何か隠された “意図” があると想像しています。

今の状況では EL を製造しているのは韓国2社に限られ、この2社以外からは調達できないことになり、調達リスクが少なくなく、もっと調達先を増やして3社以上の複数から安定購入し、かつ価格競争もさせようという意図ではないかと想像します。

このままでは1社が供給不能になったら、残りはもう1社だけとなり、価格交渉では逆に不利にならないとも限りません__ウチが供給しなかったら困るのはアップルじゃないの? だったら値引き要求しないでよ、とか。

日本からは様々なパーツを安定調達しているから、日本の表示素子メーカーにも EL を安定的、かつ安価で提供してもらいたく、3年で達成しろとゴールを決めてハッパを掛けているのでしょうか。 いやいや そんなに “日本に甘いアップル” ではなく、技術的な見通しは立ったが、価格がなかなか下がりそうもなく、ひとつ日本メーカー他も巻き込んで日韓 (+台湾?) で競争させ、価格を下げさせてやろうとの深慮遠謀なのかも知れません。

アップルは調達数がハンパではない代わりに、要求するコストもハンパではないとも よく記事で読みますから、コストについての想像が本音かも__
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『韓国 LG ディスプレー、有機 EL 新工場に 1兆円 超投資へ』(11月27日 ロイター/ソウル)
『新型 iPhone は有機 EL 採用か』(11月28日 christiantoday)

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現状 有機 EL は、発光量や省電力の性能が経年劣化しやすいという技術的な課題を抱えていますが、自己発光なので 別に光源を必要とする液晶表示に比べて低消費電力ですから、スマホのバッテリーが長持ちするのが最大の特徴でしょう。

課題は製造歩留まりの低さ=高価格、それと劣化が早いの2点です。 さぁ 安定的な性能を持つ有機 EL を液晶並の価格で提供できるかどうか、3年で達成できるのかどうか、パーツメーカーのレースが始まりました。

以上

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