シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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完璧な演奏が最高の演奏かどうか?

2023年01月09日 | 音楽界よもやま話
左から 盤面をひっくり返して第2面を表にすると 繊維くずらしいホコリが乗っているのが見えます (6分32秒 黄色の輪の部分)。 そのホコリを指で拭い、更にフッと息を吹いてホコリを飛ばす投稿者 (6分34秒) __ YouTube『Bluetooth ワイヤレスで aptX Adaptive コーデック対応の新製品! USB 録音もできる!』(2022/08/17 https://www.youtube.com/watch?v=l3WA3xwYFH4 約20分)
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最近 同じ音源の再生を LP と CD で行って聴き比べをしたら、LP 特有のパチパチ・ノイズと共に再生される音楽が意外にも面白く、一方 ノー・ノイズの CD 再生音楽が必ずしも 最高に面白いとも感じられない、という事に気づきました。

個人宅における LP 再生は、必ずしも „完璧ではない環境“ が多く、従って 盤面上のホコリをクリーナーで何回も拭 (ぬぐ) ったとしてもパチ・ノイズから完全に解放されるとは限りません。 しかし オーディオ・フェア会場やメーカー試聴室などは完璧な LP 再生環境が殆どですから、パチ・ノイズはまず聴こえません。
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実際の演奏そのものについても 同様の事がいえます。 あまりにも完璧な演奏は、実は必ずしも最高に面白いともいえないのです。 特に ヴァイオリン独奏曲などでは、サラサラっと難曲をいとも簡単そうに弾くと 却 (かえ) って幻滅してしまい、上手くいくかどうかとハラハラさせながら達成する方がずっと面白いものです。

これについては 指揮者の大町陽一郎も自著の中で同様に述べています。
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J. シュトラウス『無窮動 (常動曲)』では、「ベルリン・フィルのファゴット (木管楽器) がああ苦もなくスラスラといくと、この曲の持つ醍醐味の半分は魅力を失う。 ファゴットが苦心して のるか反るかの あの難しい楽句を終えた瞬間の喜びといったら、実際にこれに従事しなくては分からないだろう」(大町陽一郎著『楽譜の余白にちょっと』から 146p)
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声楽家の世界では 完璧な歌唱しかあり得ないのがプラシド・ドミンゴ、上手くいくかどうか危ういと思わせながら 結果的には何とかこなしてしまうのがホセ・カレーラス。 この2人の『カルメン』からのドン・ホセ歌唱を聴くと、如実に判ると思います。

ドミンゴのドン・ホセの歌は完璧すぎて、こんな完璧な歌を歌う歌手が „蓮っ葉な女“ (カルメン) によろめくのは、意外な感じがします。 カレーラスのドン・ホセの歌はどこか危なっかしく、カルメンによろめくのは、ありえそう (?) とも思えるのです。

もちろん 歌と声の演技ですから、実際とは違うのですが、私の感覚ではそのように感じるのです (でも ドミンゴのドン・ホセは引っ張りだこで、マゼール ショルティ アバドの録音3種に登場しています)。
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冒頭画像の投稿者が LP を再生する様子を見ましたが、盤面上のホコリをクリーナーで拭 (ぬぐ) わず、指で直接盤面に触ってホコリをを取ったり、フッと息を吹いてホコリを飛ばすのを見て、“LP が可哀そう“ に思えてきました。

指で直接盤面に触ると 手の脂肪が盤面に残り、カビが発生しやすくなります。 息を吹いてホコリをフッ飛ばすと、唾液の一部が盤面にかかり、やはりカビ発生の原因になります。 LP 専用のレコード・クリーナーでホコリを拭いましょう。
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最近 LP の人気が復活してきたという報道がありますが、完璧な CD 再生よりも どこか完璧でない、時々 パチ・ノイズが聴こえる LP 再生の方が面白いと感じるリスナーが増えてきている事を示しているのではないでしょうか。

でも 長時間もののオペラ再生は CD が便利です。 個人の趣味・目的に合わせてメディアを選ぶといいと思います。

今日はここまでです。

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