い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

気象のプロの必要性

2017年08月23日 13時50分59秒 | 鉄道員の愚痴
土曜日は雷雨でとても荒れた天気になりましたがみなさま大丈夫だったでしょうか。

多摩川の花火大会が中止になり観客が落雷に遭うなどしてニュースになりました。
ゲリラ雷雨や落雷は事前に注意情報が出ていたのでもっと早く花火大会の中止を決定しておいて良かったのではとも思いますが、当事者ではない私が事後だから言えることです。実施か中止の判断は本当に難しいのだと思います。

気象情報は把握していてもあんな雷雨になるとは予想せず一時的な雨なら実施したいと気持ちもあったでしょう。なにより実施の可否を発表する正午の時点では雨が降っていなかったことは大きく影響したのではないでしょうか。
台風接近であれば迷いなく中止を判断できたことでしょう。しかし局地的であるゲリラ雷雨となれば希望的観測をしてしまいがちです。

花火大会を実施するか、中止かの判断は誰がするのでしょうか。
実行委員長もしくはそれに準ずる役割の方になるかと思います。

その判断する人は、町内会の方であったり行政の方であったりするわけで、気象の専門家、プロではありません。ド素人が判断しているわけです。
ですから先の天候の変化に適切に対処できないことが起こり得ます。

実はこれは鉄道にもいえるわけです。
一例として、降雨による徐行や運転見合わせの基準は沿線に設置している雨量計です。雨量計が規制値を超えた瞬間に徐行や運転見合わせになります。
駅と駅の間で立ち往生宇しようがおかまいなしです。規制値を超えた時点で規制区間の列車は直ちに止まれ!となります。
駅と駅の間で長時間にわたり運転を見合わせることは、振替乗車であったり他の交通機関に移ることもできずお客さまを車内に拘束するわけですから避けたいことです。しかし現実には起こってしまいます。

問題なのは雨量計を規制の判断基準にしており、雨量計でしか判断できないところです。
我々は鉄道運行のプロですが、気象に関しては素人同然です。現場の駅員はもちろん、運行を管理している指令も同じです。
「今日はこのぐらいの降雨が予想されるから○時ころに規制値を超える可能性がある」
「あと10分程度で規制値を超えそうだから最寄り駅で運転見合わせ」
というような先読みして判断はなかなかできないのが現状です。

これは雨だけでなく風なども同様です。規制値を超えてからはじまります。
(台風による強風の場合、今後さらに台風が接近してくるような状況で風が一時的に規制値を下回ってもまたいつ規制値を超えてもおかしくないですから台風が通り過ぎるまで運転を見合わせることがありますが…)

だいぶ長くなりましたが、今回の花火大会から思うことは、どの分野においても鉄道にももっと気象の知識がある人材とその人材が能力を発揮できる仕組みやポストが必要ということです。
ゲリラ雷雨が当たり前になり、少し前まで異常気象と言われていたことが日常になりつつあります。気象災害も増えていくことは間違いありません。命を守るために気象の人材は必要です。