TS-440V の修理です。
半年以上誰からも修理依頼がありませんでしたので、久しぶりの依頼品の修理です。
HFのハイバンドのコンディションが上がって来ていますので、運用に割く時間が多くなり
盆前に購入したFT-1021Xもまだ調整が残っていますので、誰からの依頼も無い方がFBでした!
久しぶりの依頼品ですので、壊す事の無いように慎重に進めて行きたいと思います。
ご依頼内容は
「受信部に不具合があって、メーカーに問い合わせたら修理・調整をしてくれて動作良好だったが
先日突然送信出来なくなった。オートアンテナチューナーをONにするとCWのランプは点灯するが、パワーが
全く出ていない。」
と言う物です。
なぜもう一度メーカーに修理依頼しないのか?という疑問はありましたが、そこはお聞きしませんでした。
素人のお前に任せてみるよと言うオーナーさん、太っ腹ですね。壊すかもしれませんよ。
ここまで知らせていただくと、症状を把握するには十分です。
しかし現物を見てみないと、ファイナルのトランジスタがぶっ飛んでいるのか
RFユニットの不具合なのか、IFユニットの不具合かまでは分かりません。
何度も書きますが、ファイナルのトランジスタの不良であった場合、某国でトランジスタの
型式を削って、人気のあるトランジスタの型式を印刷するという荒業で仕上げた
偽物が流通している現在では、本物を入手するのは宝くじを当てるようなもの
ですから、部品の入手が出来ないので修理不可ですとお返しするしかありません。
さっそくお送り頂く事となりましたが、そこにはうれしい一言が。
「修理が不可能なら、修理の部品取りとしてお使いください。」と。
私は、もう1年ちょっとで還暦ですから、修理をして遊ぶというのも
あと10年前後でしょう。老眼が進行すれば、はんだ付けが怪しくなるので
毎日運用して遊ぶしかなくなると予想しております。その前に
それまで元気で生きているかですけど.....
部品取りばかり溜まっても、半年に1台のご依頼と、たまに購入する自分の技術試しで買う
動作不良の無線機の修理では、せっかく頂いた部品取り用の無線機を活用できないでしょうから
どうにか頂く事の無いように修理を完了させて返却する必要があります!
届いた無線機を早速通電試験です。
届いた状態では
・受信は正常
・3.5MHzから10MHzまでは10W程度出ている。
・14MHz以上は周波数が高くなるにしたがってパワーが下がり
28MHzではほとんど0W
・1.8MHzは0W
確認
・ファイナルユニットの不良かその前かを切り分けるためにRFユニット出口で測定。
RFユニット出口では、すでに出力が低かった。よってパワーアンプは生きている可能性が大。
・各部を測定すると、IFからの信号が既に減衰しているのを確認。
・IFユニットを追いかけて電線の束をごそごそしているとパワーが復活。よって半田不良の疑い。
処置
IFユニットをひっくり返し、半田クラックを探しましたが、目視(ルペーで)ではこれと言った半田クラックは
確認できなかったため、送信回路の半田の怪しい半田部分を片っ端から再半田しました。
さらに、コネクタ部分の再半田を行いました。
ここでもう一度動作確認。うん、よしよしちゃんと全バンド、パワーが正常に戻っている
念のため、RFユニットも同じように処置をしました。
処置後、1週間通電試験を行いましたが、全バンドパワー低下は起こりませんでしたし
オートチューナーも快適の動作しております。
しかし、この部分の半田不良ですと言うのではなく、怪しい部分の処置ですから
もしかしたら的外れで、たまたま良くなっているだけかもしれませんので
電線をゆすったり、引っ張ったり、無線機に振動を与えたりを1週間繰り返しました。
数か月前にメーカーさんで調整されておりますので、下手に手を出すのはやめておきました。
メーカーさんの修理報告書には「出力約12W」と記載されておりますが、私のパワー計ではいずれも10W程度でした。
メーカーさんの測定器は校正されているはずですが、私のパワー計は購入してそのままですからね。
無線機のPOメーターは写真では10Wに見えますが、斜めから撮影しましたので、正面からの画像を。
約12Wと読めます。
パワー計のエレメントは50Wですから、約10Wを示しています。
BIRD43のスペックは誤差はフルスケールの±5%ですから、10Wを正確に測定するには無理があります。
メーカーさんで、出力を確認されて、POメーターも調整されていて12W程度振れていますので、
次からも私の測定器で10Wに調整しておけば、12W程度出ているはずですから、皆さん大好きな
1Wでも多くのご希望に答えられます。HI
明日の夜まで試験して、異常がなければ返却したいと思います。
部品取りにならなくて良かった!!!!
さあ、次だ。