JR4GPAの「つぶやき」

JR4GPA の「つぶやき」です。修理依頼は、2013年3月3日のBLOGをご覧ください。

TS-60S 修理 その2

2013-02-23 | Weblog
送受不能。
割と簡単そうと思ったて始めたが、それがとんでもない。

前ユーザーも頑張って見たようで、皆さんがBLOGで
「半田クラックがあったので、再半田したら直りました」
なんて書くものだから、全ポイントを再半田してありました。
まあ、それも手でしょうけど、今まで数十台の無線機を修理して来て
再半田だけで直ったなんてのは殆どありません。

LO1はVFOの可変に対してちゃんと出力されているが、LO2は64.8MHz辺りで
ふーらふら。62.35MHzが出力されないといけないのだが。
UNLOCK信号が出ているのはこれか?
続いてCARを見てみると、これは出力が無い。ここからもUNLOCKが出ています。
ダブルUNLOCK!なんて喜んでいる場合ではありません。

回路図を見るとLO2はKENWOODの特注モジュール。型式はKCH14。その辺では売っていません。
KENWOODに問い合わせて見るのも良いが、古い機種だから、ありませんって
言われそうで、例え在庫があったとしても、結構なお値段のような予感。
このTS-60Sは、そこまで投資して修理するような値段で購入していないので、
直らなければ部品取り用で保管する覚悟。

CARはどうかと言うと、これもKENWOODの特注DDS ICが心臓部のモジュール。
あっちゃー.....

まあ最後まで手を尽くして、駄目なら部品取りとして保管しようと悪あがきの始まり。

回路図を良く見ると、KHC14とCARのDDSにはCPUから共通ラインで信号がやって来て、
KHC14応答せよ、おまえへの指令だ、CARのDDS応答せよ、お前への指令だと
やっています。もしこの共通ラインが死んでいれば、そこを復活すれば両方共生き返る。
と思ってオシロスコープで信号を確認すると、残念ながら信号ラインは生きていました。
いろいろ調査しましたが、両方ともユニット内部での不具合と判断し、ユニットを分解してみる事に。

CARの方はシールドケースを取るとユニットガ出てきます。ラッキーな事に特注のDDSは生きていて、手持ちの部品で簡単に修理出来ましたが
LO2のKHC14はシールドケースの中に基板のアースがハンダ付けしてありますので、全体をPLLユニットから外さないといけません。
外してびっくり、KHC14の内部に基板が2枚入っていますが、そのうちの1枚はヒビが入って真っ二つ。
部品でその割れた基板が支えられているだけでした。もう少し力が加わると部品まで真っ二つでした。
通りでUNLOCKのはずだ。
しかし、がっちりしたシールドケースに収められている基板が、なぜ真っ二つになるか?
本体を落下させたショックで割れた?それにしては本体にへこみが無い。
前ユーザーが外そうとしたか?それにしては基板やシールドケースに傷が無い。
うーん、不思議だ。
ラッピングワイヤーで切れたパターンを復活させ、仮組みして写真のように足を継ぎ足して測定しやすいように
細工し、動作確認をしました。



ダブルUNLOCKも無くなり、SGから信号を入れると元気良く受信を始めました。
送信はどうか?ファイナルがぶっ飛んでいると痛いなあと思いましたが、元気良く110Wほど出ていました。

これにどれだけ時間を費やした事か。BLOGの更新をする時間も無いくらい没頭してしまいました。

これで終わりではありません。
 ・各部調整
 ・電解コンデンサ交換
 ・フロントパネル内のスポンジ交換
と、やる事一杯です。結局1台に1ヶ月もかかってしまいました。

通りで電波を出す暇が無い訳だ!


最新の画像もっと見る